キセキVS元キセキ (5/5)
「第3Q残り3分──!!」
誰かが、そう叫んだ。
『あ、本当だ』
電光掲示板を見たら、
確かに3分を切っていた。
第2Qの残り時間に、肩慣らしのつもりで黄瀬をテキトーにマークしてたのだが……
『時間が経つのは早いなぁ…』
オレがテツヤの代わりにコートに立って、もう15分ぐらいになるのか。
「その割りにはアンタ、それほど役にたってはいないっスよね」
『それは余計なお世話というものだよ、黄瀬』
パフェのてっぺんに添えてある葉っぱ以上に余計だよ、黄瀬。
「だったら、そろそろなんか見せてよ。オレの度肝が抜けるくらいすごいやつ」
『ん〜〜…じゃあさ、さっきの必殺ロングシュート、あれ成功させたらパフェ奢ってよ』
時計は残り1分をお知らせしていた
「……いいっスよ」
どうせムリでしょ。
黄瀬はそんな顔してる。
『男に二言はねぇよ?』
黄瀬は頷く。
オレはそれを確認して、火神にボールを渡してくれるよう合図を送った。
『くれ!火神!!』
「今度はミスんなよ!」
火神はすんなり渡してくれた。
悪くないけど、ちょっと警戒心が足りないぞ?
……まあ、いいや
パシッ!
『来た来た』
右手一本でボールを受け取って、そのままシュート体勢に入る。
「ちょ、ココからゴールまで何メートルあると思ってるんスか!?」
『ん〜〜……』
ゴールがハーフラインから14メートルくらい離れてるから……
『20ぐらい?』
「入るわけないっスよ!!」
敵の黄瀬からも止められる。
しかしもうモーションに入っちゃったから何言っても遅いよ。
ブンッ!背筋をよく使って、おもいっきり投げた。
ビ──第3Q終了のブザーがなる。
みんな、高く高く上がるボールの行方に釘づけだ。
『そんな見つめなくても…』
───ッパ
『ちゃんと入るのに』
ボールは、リングに触れることなくキレイに入った。
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