やっぱり嫌い (3/4)
控え室から現れた誠凛はもはや冷静では居なかった。そのまま試合は始まる。
バキャ!『あー…』
ハーフコートでの試合開始早々、豪快な音が響いた。
『ひゅー、やるーぅ』
海常の奴らの顔といったら…なんとまぁ間抜けだこと。
「おおおぇぇ〜〜!?ゴールぶっこわしやがったぁ!!?」
「あっぶね、ボルト一本サビてるよ……」
「それでもフツーねぇよ!!」
館内は一層騒がしくなった。
皆、リングが壊れるの見たのは初めてなのだろうか。
「おー、リングって思ったよかデケーな。どーする黒子コレ」
「どーするって……まずは謝ってそれから……すみません、ゴール壊れてしまったんでもう片方のコート使わせてもらえませんか」
楽しそうに武内を見返す火神とテツヤ。
『半面だけって、ケチるからこうなるんだ』
こいつらは大物になるな。
と、この時初めてオレは思った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『結局全面コートじゃねえか。ざまあ』
練習を中断してコート整備に追われる海常の部員等を見て、直也は鼻で笑った。
「……確かにありゃギャフンっスわ。監督のあんな顔初めて見たし」
「人ナメた態度ばっかとってっからだつっとけ!」
「火神君……ゴールって……いくらするんですかね?」
「え!?あれって弁償!?」
『大丈夫だよ、多分。高校生のくせにモデルをやってる懐の厚い黄瀬がなんとかしてくれるよ』
「……男の嫉妬は見苦しいっスよ?藤井」
『嫉妬?オレが?はっ、自惚れも甚だしいよ黄瀬君』
再び険悪なムードになってきた2人
「会うたびに喧嘩しないでください。試合中なんですから」
見かねた黒子が仲裁に入った。
それでも2人はまさに一触即発。
「黄瀬!ちょっと来い!!」
すると海常の監督、武内が黄瀬を怒鳴るように呼んだ。
『ほらほら黄瀬くん、呼ばれてるよ?早く行かないと怒られるんじゃなーい?』
「直也君……彼を弄るのもほどほどに」
挑発的な言動を続ける直也に、とうとう黒子は困ってしまった。
「藤井こそ、でかい口たたくのは今のうちだけっすよ」
オレをバカにした事後悔させてやる。
そう言って黄瀬は去っていった。
だから、後悔なんてものはとっくの昔にしてるんだってば。
つくづく、癪に障る奴だな。
黄瀬って
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