オレの背番号 (5/6)
「あれ?その様子だと……知らないんスか?」
「な、何を?」
「オレと藤井 直也の関係」
黄瀬が横目で直也見やると、誰が見ても分かるほどあからさまに肩を震わせた。
「藤井は言ってないみたいですけど……知りたいですよね?」
オレが教えて上げますよ。
と、黄瀬の唇は弧を描いた。
『黄瀬………』
「なんっスか藤井。もしかして怖い?オレがアンタの背番号取り上げた事がばれるのが」
オレが一軍昇格が決まった時、数あわせのために二軍に落とされたのはアンタでしたもんね。と黄瀬はオレを試すような目で見てきた。
「「「「!!?」」」」
『黄瀬!!』
誠凜の部員は誰もが驚きの表情を浮かべ、直也は今までに無いくらい声を張り上げた。
「そんなに怒ることないっしょ、藤井君?アンタは弱くて、オレの方が強かった。……ただそれだけのことなんスから」
『………黙れ』
「あ、もしかして、一瞬でもレギュラーになれたプライドが邪魔してなかなか言えなかったの?」
『………黙れ、黄瀬』
「さっきから黙れの一点張り。別に隠す必要ないでしょ?こんなの。昇格テストで二軍落ち。そして自尊心を傷つけられた"元"レギュラーは辞めていく……そんなの、よくあることじゃないっすか」
散々人を蔑み哀れみを込めてため息をついた。それで、とうとう直也の怒りは爆発した。
『るっせーよ黄瀬!!テメェに何がわかるってんだよ!言っとくがな、オレは弱くてレギュラー落ちしたんじゃねぇ!』
直也は最後まで言い切った。
まるで、あの時言えなかった思いを黄瀬にあたり散らしているように。
───オマエのバスケは素晴らしい。……でも、僕らのバスケには合わないんだ。
散々オレのパスを受け取っていたくせに…「キセキの世代」と囁かれ始めたとたん、アイツはオレをあっさり捨てやがったんだ。
「は?何ソレ。ただの言い訳でしょ?」
「……違いますよ黄瀬君。直也君は本当に────!!」
直也の言葉を信じようとしない黄瀬に代弁しようとした黒子だっだが、その言葉は最後まで続かなかった。
バチィ!火神の投げたボールによって、阻まれてしまったのだ。
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