オレの背番号 (4/6)
「すげー、ガッツリ特集されてる……」
「どっから持ってきた」
「部室っス」
『部室って……その雑誌、随分昔のじゃねぇか』
いつの間に持ってきたのか、一年の一人が皆に聞こえるようにとある記事を読んだ。
中学2年からバスケを始めるも、恵まれた体格とセンスで瞬く間に強豪・帝光でレギュラー入り。
他の四人と比べると経験値の浅さはあるが急成長を続けるオールラウンダー……
『レギュラー入り、ねぇ……』
オレの後釜としてたまたま選ばれただけなのに。
「中2から!?」
「いやあの……大ゲサなんスよその記事、ホント。「キセキの世代」なんて呼ばれるのは嬉しいけど、つまりその中でオレは一番下っぱってだけスわ〜〜。だから黒子っちとオレはよくイビられたよ」
な〜っ、と黄瀬は黒子にふったのだが……
「ボクは別になかったです。てゆーかチョイチョイテキトーなコト言わないで下さい」
「あれ!?オレだけ!?」
再び黒子はあっさり否定してしまった。
「っつーか藤井、黒子と黄瀬は仲良さげにはなしてるけど……オマエは良いのか?」
『オレ?いや、オレは……』
「まあまあそんな事言わずに」
1人ポツンと壁にもたれていた直也は、気遣ってくれた伊月に呼ばれる。
「藤井?もしかして、藤井 直也っスか?」
黄瀬が、その名前に反応する。
「ああ。ほら、コイツ」
『………ども』
日向に腕を引っ張られて半ば強引に黄瀬と対面させられる。
とたん黄瀬の表情はかたくなった。
「アンタ、まだバスケ諦めてなかったんスか?」
『黄瀬こそ、よくもまあ飽きもしないでバスケ続けてられるもんだな』
二人は睨み合う。
1人は相手を見下げ、1人は睨み上げる。
「え、えっ?何おまえら、そんな仲だったの?」
日向が困ったようにあたふたしてしまった。
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