オレの背番号 (3/6)
「海常高校と練習試合!?」
「っそ!相手にとって不足なし!一年生もガンガン使ってくよ!」
「不足どころかすげえ格上じゃねーか……」
予定より随分早く招集かかったなぁ…なんて思ってたら、カントクさんの口からはとんでもない言葉が出てきた。
『(海常っていやぁたしか……)』
全国クラスの強豪校だったような。
そんな学校が試合相手だと知った他の奴らも驚いてた。
「それよりカントク、帰ってきた時言ってたアレ、マジ?」
「もちろん!」
「アレ?」
「あれ火神聞いてなかった?」
『まって先輩。知らないの火神君だけじゃないよ』
オレも、オレも。
さっきバスケ部の一員になったばかりだから話についてけないよ、オレも。
「ああ、そうだっけ」
「海常は今年「キセキの世代」の一人、黄瀬涼太を獲得したトコよ」
『え?』
黄瀬 涼太って………あの?
あの、パシリマン?
「しかも黄瀬ってモデルもやってるんじゃなかった?」
「マジ!?」
「すげー!!」
「カッコよくてバスケ上手いとかヒドくね!?」
「もうアレだな……妬みしかねえ……」
「ヒクツだな!」
『卑屈って意味分かって言ってる?』
「え…いや、あんまり………」
『…………』
じゃあ使うなよ。
心では思ってたけど、面倒だからあえて言わなかった。
『…………んー?』
「どうしたの?直也」
『なんか、騒がしくないですか?カントクさん』
「え?」
笑い声とか足音とか、明らかに部員の数を越してるこてを指摘すると、カントクさんは辺りを見回す。
「……!?ちょ……え?」
気づけば、体育館には色紙やカメラを持った女子がたくさん集まっていた。
「何!?なんでこんなギャラリーできてんの!?」
特に、ステージ周辺の人だかりが異常だった。
「あーもー……こんなつもりじゃなかったんだけど……」
女生徒の中心には男が1人いた。
「……アイツは……」
『「キセキの世代」の………なんでいんだよ』
「……お久しぶりです」
ああ、ほら。
テツヤが"お久しぶり"って言ったっつーことはやっぱり、
「黄瀬涼太!!」
「ひさしぶり。スイマセン、マジであの……え〜〜と……てゆーか5分待ってもらっていいスか?」
そこに居たのは「キセキの世代」の一人で次の練習試合の相手、黄瀬涼太だった。
「……なっ、なんでここに!?」
「いやー次の相手誠凛って聞いて黒子っちが入ったの思い出したんで挨拶に来たんスよ。中学の時、一番仲良かったしね!」
「フツーでしたけど」
「ヒドッ!!!」
ステージを降りて近寄ってくる黄瀬の言葉を、黒子はあっさりと否定した。
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