オレの背番号 (1/6)
「───と、言うわけで、今日からバスケ部の一員になった」
『藤井 直也です。一生懸命ついて行こうと思いますので、よろしくお願いします』
更衣室で着替えたあと、体育館へ部員らが集まるとそこにはカントクと一度だけ見たことがある男子がいた。
「あ、キミ…結局入部したんだね」
『はい。えっと……』
「ああ、オレは主将の日向。よろしく」
『藤井です。よろしくお願いします』
そうやって、学年とポジションを丁寧にひとりひとり教えてくれる先輩たち。
「藤井は経験者なんだろ?ポジションは?」
『オレっスか?オレは……』
顎に手を当てて記憶を手繰る。
『PG…いや、SG?いやいやちょっと待って下さい思い出しますから……』
「直也君はSFでしたよ」
なかなか思い出せない直也の横で声がした。
『そうそうSF!って、何で知ってるん………』
「「「「「黒子ぉぉおお!?」」」」」
直也のポジションを当てたのは黒子だった。
「オマエいつからそこに!?」
「っつーか何で知ってるんだ?」
「驚かせるなよバカヤロー!!」
「すみません」
驚かれることに慣れてる黒子は条件反射のように謝る。
『相変わらず影薄いんだね』
「相変わらずなのは君もでしょう」
その中でただひとり、直也だけは平然としていた。
「"相変わらず"って、え?2人って知り合い?」
親しそうに喋る彼らを見て、リコは疑問に思ったことを口にした。
「だって、直也君も帝光でしたよ?」
「「「「「帝光!!?」」」」」
皆、口をそろえて驚いた。
「この前のあれ本気?」
「どのくらい巧いの?」
「オマエも帝光のバスケ部!?」
「試合には出たことあんの?」
いっぺんに質問しだす先輩方。
とりあえず、聞き取れた質問には答える。
『試合?んー……まあ一応』
出たって言っても、二軍とか三軍の試合だけどね。
「……………ぃわ」
『岩?』
「凄いわ直也君!あなたも帝光中出身だったなんてね。そうとわかれば、もっと貴方の実力を見せて頂戴!!」
カントクさんは、この上なく楽しそうだった。
「さあ!早く準備して、ミニゲームをするわよ!!」
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