後輩の敬意をおくる (5/5)
「負けた……」
「な……なんでだよ!!」
納得のいかない人が約一名……
津川だった。
『うるせぇよ。負けたことを自覚しろ』
「だって…オレはちゃんとパスコースを計算したのに…」
『それでもお前はカットできなかった』
それは、オレたちのチームワークが一枚上手だった証拠。
「──っでも、誠凛なんて去年できたばっかのとこだろ!?練習だって絶対ウチの方がしてるのに!去年なんて相手にもなんなかったのに!強いのはどう考えてもウチじゃんか……」
「やめろ津川」
「だって……」
「強い方が勝つんじゃねぇ……勝った方が強いんだ」
「そゆこと〜。さ、整列いこーぜ〜」
「誠凛の方が強かった、それだけだ」
先輩達になだめられた津川の顔は、悔しさでいっぱいだった。
「……名前教えてよ!」
整列する前に、津川はテツヤを呼び止めた。
「え?」
「名前!」
「……黒子テツヤです」
「……覚えとく!」
その名は、今回の惜敗と共に深く胸に刻まれたことだろう。
「73対71で誠凛高校の勝ち!!」
「ありがとうございました!!」
自分の試合が一段落したのでとなりのコートに目を向けると、どうやら秀徳も試合が終わったらしい。
もちろん、大差で。
『真太郎を早々と温存させたのにあれだけの差か…』
正邦戦を僅差で勝ったうちとは、やっぱり格が違う。
此処まで勝ち進むのに皆の力に任せっぱなしだったけど、そろそろ本気になったほうがいいかもしれない。
『(アイツに会うためには、全国大会に行かなくちゃいけないんだ)』
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