後輩の敬意をおくる (4/5)
「逆転…!!?マジか誠凛……追いついた…!!」
たった1ポイント差ではあるが、リードしたことにはかわりない。
「けど……」
『残り時間はあと25秒…』
「ここは絶対取られるわけにはいかねーぞ」
残りわずかだが油断は出来ない。
誠凜は守りに力を入れた。
しかし、
───ゴッ!
「ぐっ……!!」
『危ない!』
日向と水戸部のDFも通用せず、岩村のパワープレーによって逆転を許してしまった
「王者をなめるなよ!!キサマらごときが勝つのは10年早い!!!」
『(正邦、やっと本気出してき……いや、ムキになってるだけか)』
今の状況は王者としてのプライドが許さないのだろう。
正邦はこの土壇場でオールコートマンツーマンを仕掛けてきた。
「うおっ……」
キツいアタリで身動きできない伊月だったが、そこで水戸部は春日の背後に移動した。
「!!みとれちゃうぜ、水戸部ナイス!!」
水戸部おかげでスキができると、伊月は春日を抜いて黒子のパスを回した。
「しまった……」
その間藤井もDFを抜けて走りだす。
「────!」
「津川……!?」
フリーになった藤井にボールを繋ごうとして黒子だったが、津川にその道を阻まれてしまった。
「なんで……」
「パスコースから逆算して察知したんだ……!!」
もうダメだと、だれもが思った。
『テツ!』
その中で藤井は立ち止まらずに走った。
そして大室のところでスクリーンに入る。
「黒子ぉぉお!!」
藤井の行動の意図を察知した黒子はフリーになった日向へとパスを回す。
日向の手から離れたボールはリングをくぐった。
「試合……終了──!!!!」
71対73。
誠凛は、都内一堅いDFを打破した。
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