オセロゲーム | ナノ
後輩の敬意をおくる (1/5)





『あ、先輩取ってー!』


スティールされたボールがラインアウトしそうになる。
オレは無意識に叫んでしまった

小金井先輩は、ボールを取りに飛び出す。


「とぉ、はっ、ん!?んぎゃ───」


ガシャ―ンと盛大な音を立てて、小金井はベンチにひっくり返った。


「小金井君!大丈夫……じゃな―い!?」


『カントクさん、小金井先輩目ェ回してます』


「オイ小金井君!!」


「小金井君!!」


絶えず呼び掛けたのだが、全く気が付く気配が無かった。


「軽い脳震盪だと思うけど、交代しかないかも……」


「じゃあオレを出してくれ!……ださい!」


「何言ってんだ、オマエはダメだ」


火神君が代わりに試合に出たい言うが、主将に即却下される。

まあ、当たり前だろう


「その元気は何のためにとっといてるか忘れたんか、だアホ!ちゃんとケリつけてくっから待っとけ!」


「だからってやっぱジッとしてるなんてできねーよ!何か先輩達の力に……」


「ボクもそう思います」


『オレも主将に賛成だな』


「だから4ファウルの人はすっこんでてください」


「ぶ」


テツヤは火神君の頬を押さえるようにして叩いた。


『くふっ!』


その顔が面白くて、思わず吹いてしまった

ごめん、火神


「なんだと黒子テメェ……」


火神はメキメキと音を立てながらテツヤの頭を握る。


『潰れる!潰れるよ火神っ』


オレは慌てて止めに入る。
表情にはあまり出てないけど、実は痛がってるから。


「出ても津川君にまたファウルしたら即退場じゃないですか」


『だいたい、すぐカッとなる火神じゃ直ぐ退場にきまってる』


「しねーよ!ってかだからオレは津川にも借りがあるんだよ!!」


「じゃあ津川君はボクが代わりに倒しときます」


「なぬっ…」


そこで、主将は残り時間を確認。
オレもそれに習って見た。


『だいたいあと5分…』


「分かった……じゃ一年同士津川は頼むわ……

『待ってください主将』

………ん?」


オレは手を上げて主将の言葉を遮った。


『オレも出して』


「はあ?いや、でも……」


『テツヤのパスが復活しても、光が無いと意味ないじゃないっすか』


「それは、そうだが……」


答えあぐねる主将はカントクにアイコンタクトで意見を伺う。


「あなたが、黒子君からパスを受けるの?できる?」


カントクさんは心配そうに尋ねてきた。


『オレだってやる時はやるっすよ』


オレを誰だと思ってるんすか?


『まがりなりにも、元キセキの世代ですから』


久しぶりにやる気がわいてきた。
黄瀬とやったとき以来だ。

思わず口角が上がる


「そうか……なら頼んだぞ黒子、藤井」


.

prev|backnext
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -