先輩の意地には (3/3)
「一本!!ここ大事にいくぞ!」
人差し指を立て、目を細める。
選手の動きを注視して…主将にパスを出した。
『あぁ…あのまま行くと……』
正邦の選手はアタル。
「!!?」
「ったぁ……!?」
「いって……!!?」
そこを上手くついて、伊月先輩は主将からボールを受け取った。
『………うまい』
相手をスクリーン変わりにするとは、まるで上から見てるみたいだ。
「伊月君は見えるのよ。「鷹の目」を持ってるからね!」
『?』
なんでも、頭の中で視点を瞬時で変えられるそうだ。
『便利だな』
しかもソレを一年も磨いたっていうから、相当なものになってるのだろう。
『一年も……アレを磨いたのか…』
コートから聞こえる声に耳を傾ける
「今のシュートナイスじゃないっスか?」
「今スグ交代するか死ね……!」
「死……えっ!?」
聞こえてくるのはしょうもない駄洒落たち。
『あれは……磨かなくてもよかったかなぁ…』
正直、試合中に披露されると気が散る。
「やっぱスゲェっす先輩達…じゃあ小金井先輩と土田先輩も…!?」
「え……うん」
『うん?』
カントクさんは言った。
「小金井君は全範囲からシュートが打てるわ!!」
『あ、でも外した』
威勢よく放ったのに得点に繋がらない小金井先輩。
「けど成功率はそこそこ」
「それけっこー普通じゃね!?」
『うわ、それ言っちゃいけない言葉だよ!』
火神君はストレートにイタイところをついてしまった。
皆思ったけど!
言っていいことと悪いことの区別はつけて欲しいものだ。
『(残りは……2分か)』
点差は五点。
啖呵きって挑んだわりには、いまいちノれてない誠凜の先輩たち。
そしてそのまま、
試合は佳境に入る
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