オセロゲーム | ナノ
ターゲットは火神 (5/5)





『お?』


テツヤと火神の連係で流れを掴んだ誠凜が点を稼いでいく。

すると、坊主のディフェンスが緩くなったのが目に留まった。




「だめだ、行くな火神!!」


『………あ!』


主将が叫んで、オレがそれに気付いた頃にはもう時すでに遅し。





 ピ────ッ





「OFファウル!!白10番!!」


「なっ」


これで4つ目となるファウル。
今までと同じペースでの試合続行は、ちと厳しい


「うわぁあ、4つ目だー!」


「誠凛のスコアラーがファウルトラブル!!」


「まだ第2Qだぞっ!!?」


ふと坊主を見れば、満足気に笑ってた。

そうか、とオレは察した


『(火神…はめられたんだ)』


思い返せば、火神君の取ったファウルはすべてあの坊主からだった。


『カントク…これもう引っ込めるしかないですよ』


「バッカたれ……!」


カントクは額を押さえてため息を吐くと、交代のために席を立った。


「大丈夫すよこんぐらいっ!もうファウルしなきゃいいんだろ?いけます!」


火神はねだった。
しかし頭の血が上りやすい彼に、ファウルに気をつける事なんて無理。


「ま、ちょーどいいわ。オマエと黒子はどーせひっこめるつもりだったからな」

「……え?」


「……ボクもですか?」


主将の言葉にたいして、滅多に口を出さないテツヤでさえも聞き返した


「最初から決めてたからな。お前ら二人は前半まで、藤井の力は頼らないって」


『あ、それでさっき……』


オレを出す予定は無いなんて言ったのか。
悩みが一つ減って、すっきりする。


「まぁ心配すんな。正邦はオレ達が倒す」


2年生メンバーの表情からはとても強い意志が感じられた。


「そんな、なんでだよ…ですか!オレと黒子が前半までって…」


『まあ落ち着けよ火神』


反抗する火神を抑えると、主将は理由とやらを話してくれた。


緑間を倒すためにはここで温存しておくのが一番だ、と。


「いや疲れててもなんとかして……緑間倒してみせますよ!それに……」


「火神君……言う通りにしましょう」


「なっ?」


「ボクは先輩達を信じます。それに大切なのはきっと……もう一つの理由の方です」


『ああ、そうだな』


火神には分かんないかもしれないけど、オレとテツヤには分かったよ。


先輩たちの思いってやつ


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