遅刻しました (2/2)
「筋肉痛なんだ……ですけど……鬼か!」
食事中、廊下の方から聞き慣れた声が聞こえた。
顔を向けると、火神とテツヤと…あとカントクさんがちょうど通り過ぎるところだった。
「あれ、火神と女カントクじゃない?直也んとこの」
『そうだけど…何やってんだろ?』
過ぎ行く彼らの会話に耳を澄ます。
「ちょっとー乙女に荷物持たすの?そこはやっぱり頼むよおっとこ〜〜の子!」
「乙女なんてどこにもいね……い゛でっ!!」
バシッ!と良い音がとんでくる。
おそらく、火神が張り手でも食らったんだろう。
「何なの?あれ」
『火神君がパシられてるっぽいよ』
「なーるほど」
そしてオレと柏木は再び弁当に向かった。
『……あ、ねえ柏木』
「んあ?」
柏木は頬っぺたにご飯つぶをくっ付けながらこっちを見た。
教えてやろうと思ったが、ここはスルーだ。
『次の授業って何だっけ』
「たしか英語」
『英語かー』
「それがどうかしたのか?」
柏木は頬っぺたのご飯つぶに気付いて、手で取って食べた。
『いや、教科書部室に置いてきたなーと思って』
「取りに行くのか?」
『うん。ちょっと行って来る』
オレは空になった弁当箱を片付けて席を立った。
『英語ー』
オレは、部室のドアを開けた。
『あれ、何やってんの?』
中には火神とテツヤがテレビの前に座って、何かを見ていた。
「直也君」
どうしたんですかと、テツヤも聞き返して来た。
オレはロッカーを開けて教科書を探しながら答える
『いや、オレは英語の教科書を取りに』
「僕たちはこれを見てたんです」
そういって、テツヤは画面を指差した。
『試合?』
「はい。次の試合相手、正邦です」
『せいほう?……ああ、これね』
オレがこの前、パシられて撮りにいったやつ。
「藤井も見るか?」
火神君がベンチをあける。
『んー、いやいいよ』
実物見てきたし。
「そうか」
オレは教科書を持って、部室をでた
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