オセロゲーム | ナノ
遅刻しました (1/2)





現在時刻は午前11時

現在地、廊下。








完全なる遅刻だった。








『おはよーございまーす』


扉をそろりと開けて授業中の教室の中へ。
すると生徒の視線は一気に集まった。

…恥ずかしい



「おはよーございますじゃないだろ。今何時だと思っている」


『…すみません』


「どうせ寝坊だろう?」


『その通りです』


席についてうなだれるオレを見て、数学の先生は深いため息をついた。


「とりあえず教科書ノート出せ」


『はい』


注目されてる恥ずかしさを抱きながら、オレは言われた通りにする。


「あー、じゃあ授業を再開しー………終わった」


先生が黒板にチョークを付けると、狙ったかのようにチャイムが鳴った。


「じゃあ遅刻したバツとして、終わりの挨拶は藤井にやってもらう」


『起立、礼……着席』


無茶ぶりだよ先生。
って言いたくなったけど、なんとか押し留めた。

















「直也、おっはよー!っていうかもうこんにちはの時間だよ」


『そーですね』


お昼休み、いつも通り喧しい柏木がハイテンションでやっていた。

…いや、ハイテンションなのはいつもなんだがな


「もう昼休みなんだけどさ、直也もメシ食うよな?」


『そーですね』


柏木はテキパキと椅子を机に寄せて座ると、お弁当を開け始める。


「オレな、直也のためにノート録っといたから。いつでも言ってな」


『そーですね』


「…………人の話聞いてないだろ」


『そーですね』


そうさ。
お前の話などハナから聞いてない


「っ…もういい!直也なんてキライ!」


『どうぞご勝手に』


そしたら柏木はがっつくようにお弁当を食べ始めた

……のだが、



「……珍しいねー直也が寝坊なんて。普段は授業中だって寝ないのに」


ふてくされつつも、やっぱり柏木は喋らずにはいられなかった。


『オレのこと嫌いなんじゃなかったっけ?』


「そ、それはもう良いの!」


『あっそう』


コロコロ表情が変わる柏木を見てるのは楽しかった。


「そんな事よりそんな事より、なんで遅刻したのって聞いたの!」


『寝坊だよ』


「ほんとに?」


『昨日、二試合やったんだ。出なかったけど…気疲れってやつ』


「ふーん」


『ほら、食わないと昼休み終わるぞ』


オレは適当に話を切り上げ、昼飯を出した。


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