不撓不屈 (3/4)
『よーし、次行きましょー…?』
秀徳戦を見終わって、次の試合のため控え室へ行こうとした。
『あれ?』
しかし後ろには誰もいない。
『先輩方?』
角の向こうから騒がしいカントクさんの聞こえたので、戻ってみる。
「今日、もう一試合あんのよ!バカか……バカなのか!」
「冗談だよっ、暗いムードだったからさー」
「なら……」
「え?マジ!?」
「やっぱバカか!バカガミか!!ちゃんと表見とけ!」
『………………』
試合の存在忘れて、皆帰ろうとしていたようだ。
大丈夫か?この人たち……とくに火神君。
「予選4回戦と最終日は2試合づつやるのよ。17時から5回戦よ!」
「でも改めて考えると一日2試合ってムチャだよな。時間空くっても疲れは残るし」
そうして、なんやかんやでこれからの日程確認が行われた。
廊下のど真ん中で。
「準決勝・決勝も一日でやんのか……ん?てことは秀徳の前に一試合やんのか?」
『そうなるねぇ』
オレは火神君の持ってるプリントを覗いた。
「……!?センパイ…三大王者って秀徳とあと」
「正邦と泉真館!」
「…!!?カントク……これって……」
トーナメント表をみる日向先輩も驚いた顔をした。
どうやら先輩方も試合予定を把握してなかったらしい。
「最終日はおそらく準決勝は正邦!決勝は秀徳!北と東の王者と二連戦なのよ!」
断言するカントクさんの言葉にそれぞれ厳しい表情になりだす。
『皆、びびっちゃダメだぞ…』
「ハッ、一日に2試合できて……両方強えーんなら願ったり叶ったりじゃねーか!」
火神君だけは、熱く燃え上がっていた。
「いや火神……さすがにこれは……ないって!そもそも準決勝に勝てるかもわかんないのに……」
「どんな強がりだよ……なあ黒子!」
ナイナイと苦笑する先輩は、テツヤに話をふった。
「すいません、ボクもちょっとワクワクしちゃってるんですけど……」
『マジかよ』
照れくさそうに頬をかくテツヤ。
みんなは火神菌に感染した云々で盛り上がった。
「でも逆境ってちょっと……燃えません?」
彼らの騒ぎ様より、テツヤのその一言の方が意外だった。
『逆境…』
口の中で何度も呟く。
今までそーいうシチュエーションにあったことないから、ちょっとイメージつかない。
『逆境って、ワクワクするんだ…』
よくわからないや
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