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不撓不屈 (2/4)





「今日、今んとこ5本中5本か。緑間はずいぶん調子いいみてーだな」


暫く無言で試合を眺めていた火神が口を開いた。


「そうなんですか?」


『へー火神君にはわかるんだ』


「いや知んねーよ!つかオマエらの方がわかんだろが!」


「と言われても……」


『ねぇ』


真太郎の調子がどうとか聞かれても正直困る。

視線をコートにもどすと、相手チームの錦佳は中を固め始めた。


『(あ、外を捨てる気なんだな)』


錦佳がインサイドに重点を置くと、すかさずボールは真太郎のもとへ集中する。


「さぁ……?彼が外したとこ見たことないんで……」


『そういや、そうだな』


「!」


外したことないっつーか、外しそうなシュートはまずうたない。



「ある程度しょうがない?……だからオマエらはダメなのだ」


ボールを受け取った真太郎は右手を添えてセットする。


「外したとこ見たことない……?黒子、藤井、まさかそれって…」


『そう。そのまさかだよ』

真太郎はボールを放った。
高く高く上がるボールは大きな弧を描く。

そして、シュートした本人はボールがリングをくぐる瞬間など見もしない。


『入るから文句はないんだけど』


それでもあのループの高さは異常。


『あ、入った』


あれだけ高く飛ばせるんだったら飛距離はもっと伸びるんだろうなぁと、思ってしまったり。


『……しっかしなぁ』


秀徳高校とは、なかなか良い役割分担をするもんだなと感心する。


見ててつくづく思う。



到底、チームワークやチームプレーと言えるような代物出はないが。



『…今度は大坪主将がダンクした』


中は大坪キャプテン、外は真太郎。

完璧な布陣が出来上がっていた。















「試合終了ー」

ホイッスルが鳴る。
秀徳の応援団からは一際大きな歓声があがった。

結果はもちろん、

錦佳の必死のディフェンスもむなしく、トリプルスコアで秀徳が圧勝。


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