意識が戻った。と連絡が有った。会いたいと言ったら向こうの親族に猛反対された。きっと悲しむのはあなただから。お前には絶えられないから。とか 「それでもオレはアイツに会いたい」 こんな薄くて軽い扉一枚の向こうに彼女がいるのに会いに行けないはずない。 背後から降る静止の声も聞かず、オレは扉を開けた 「結香」 名を呼んだ。 白に支配されたこの異質な空間に住まう白を纏ったオレの彼女。まだ夢現つなのか、窓の外を眺めてぼーっとしてるようだ。 何が悲しくて屋上から飛び降りたかは知らないけど、まだ彼女が元気だったあの頃のままの姿があった。ただ、腰辺りまで伸びた髪が時間の経過を証明してくれる。 「もう、起きて大丈夫…なのか、?」 緊張で固まる喉を震わせて発した声は予想以上にか細かった。オレの声は彼女に届いただろうか。なかなか反応を見せない彼女に焦れったさを感じた 「───」 少しの間待つと、衣擦れの音と彼女の吐息が聞こえた。ゆっくり、ゆっくりとあの真っ白な肌がこちらに向けられる。 「結香」 もう一度呼んだ。 「なぁに?大輝」 またあの笑顔を向けて欲しくて。 またあの凛とした声を聞きたくて。 一分一秒でも早く彼女に会えたという実感が欲しくて、オレは呼んだ。 なのに、なのに、 「だぁれ?あなた」 返ってきた言葉はあまりにも残酷だった。 彼女の瞳には何も映ってなくて。 彼女の声色は全くの別物のようだった。 あなたはだれ?オレも知らない。 おまえはだれだ? |