障子を静かに開けて中へはいる。向こうさんの衣擦れの音がする。 落ち着け、落ち着け私の心臓。 「やあ」 「……おばんです」 町で一、二を争う呉服屋の跡取りである氷室さん。この人と初めて出会ったのは私がまだ禿(かむろ)だったときだ。 その時は氷室さんも夜遊びも馴れてなくて、直ぐに酔いつぶれていたのでよく私が看病をしていた。 懐かしい。それがいつのまにか5年も過ぎていた。 「久しぶりだね」 「そうですね」 「ちょっと痩せたかい?」 「…気のせいです」 そんな。あなたに会えない日が続いたから食が進まなかったとかそんなんじゃありません。恋煩いとか、そんなんじゃ… 「氷室さんこそ、今までどうして来てくれなかったんです」 ああ、聞くつもりは無かったのに。貴方は私のお客様で、私はただの遊女。 望んではいけない。想ってはいけないと分かってるはずなのに。 「うち、寂しかった」 涙が、止まらない 「氷室さん」 「うん?」 「なんで直ぐ来てくれなかったん?」 また来るね。と言って三月もたってるのだ。貴方に会うことで癒されていた私の心は貴方に会えないことでずっとカラカラに日枯らびていた。 「ああ、泣かないでおくれよ。可愛い顔が台無しだ」 ごめんね。と何度も呟いて氷室さんは私の涙を拭う。 「君を迎えに来るのに、少し時間がかかったんだ」 「え?」 今、なんて…… 「むかえ、に?」 「そう。君はもうすぐ自由になるんだよ」 いつものように柔らかく微笑んで話す氷室さん。 「また、冗談なんでしょ氷室さん」 つまらないことで私をからかうの好きだもの。 「冗談じゃないよ」 「嘘よ」 「嘘でもない」 「本当?」 「本当だよ」 相も変わらず目を細めて笑う彼。 ああこれは嘘じゃないんだとなんとなく悟った 「オレ、自分の店をひとつ作ったんだ。両親は猛反対してたけどこの三月でずいぶん成果をあげたからね、オレ」 やっと一人前として認められたよと話す彼は本当に嬉しそう。 「じゃあ私…」 「ああ。これからはオレとお前2人だけで暮らせる。待たせてすまなかったね」 私は氷室さんの胸に飛び込んだ。 ありがとう、ありがとう。 やっぱり太陽に嫌われてるわけじゃ無かったのね ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ なんかスランプとかなんか。 結局何書きたかったのか不明です 頑張ってリハビリします |