いつも以上にまとまってません。すみません



「見舞いに来たぞ木吉ー元気か!?」
「…ああ、それなりに元気だ」


勢いつけてドアを開けると、一番窓側のベッドにいた木吉は本を置いてオレに手を振った。
元気そうで何よりだ


「変わったことないか?木吉」
「いや、いつも通りだ」
「そりゃよかった」


普段と変わらず笑いながら、転がっていた椅子を引き寄せそれに座る。
そこで、ベッドの下にホコリを被ったバスケットシューズやボール等が捨てられたようにあるのを見つけた。


「…なあ木吉、バスケ諦めんのか?」
「え?」
「だってお前…ベッドの下……」


オレが指を差すと木吉の顔はとたんに暗くなった。


「辞めるとか、そんなんじゃねぇよな?」
「……」


木吉は手元の本に視線を落としたまま黙ってしまった


「なあ木吉、なにもそこまでする必要はねぇだろ?コートに立って走るコトだけがお前の価値じゃねぇよ」


だから簡単に諦めるとかするなよ


「別に諦めたわけじゃ……ただちょっと距離を置きたかっただけだ」


震えた声でそう言った木吉。
でも、辞めようと思ってないはずはない。そんな気がする


「人間ってのは完璧じゃねぇんだ。一度や二度の挫折で簡単に諦めようとすんなよ」


オレは口下手で、ありきたりな言葉しかかけてやれないけど…なにか伝わるといいな


「でも…」


その"でも"にオレはキレた。
悩むのはおおいに結構。
だがいつまでもうじうじされるのは嫌いだ。


「お前なぁ、そうやってうじうじうじうじ…そんなに辞めきれないならオレが捨ててやるよ!」
「はっ!?」


ベッド下のシューズとボール、あとよれよれの使い古されたスポーツバッグを担いで木吉に背を向ける


「これでお前もすっきり爽快だろ?」


怒りに任せてドアのトッテを握る

その時だった


「なにすんだ!返せよ!」

「ってえ!」


後頭部に、木吉が持っていた本がぶつかった。


「それは全部オレのだ」


痛む後頭部を擦りながら振り替えれば、さっきまでとは見違えるほど真っすぐな目をした木吉がいた。


「辞められないクセに、しょーもないこと考えんなよ」






答えがあったら
もう大丈夫だろ?





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お題は 静夜のワルツ より

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