「お邪魔しまーす」
ぞろぞろとZ組の連中が私の家の中へと上がってくる。 弟の空はポカンと口を開けたまま、立ち尽くしていた。
「ね、姉ちゃん…これどういうことだよ」 「私に聞かないでくれ。」
私だってよく分からないんだから。まっさか本気にするとは思ってなかったしね…
「空くんって言ったっけ?君、かっこいいね。ジュノンボーイとかいけるんじゃね?」 「やめろよ、私の弟を勝手に別世界へ引きずり込むな。あ、空。お茶とお菓子出してー」 「なんで俺なんだよ!」 「仲いいのね、二人。」 「そんなことないけど……」
沖田君は家の中のものを勝手に触ってるし、神楽ちゃんは家の中をきょろきょろと見回している。土方君は固まっていた。 普通なのは志村さんと先生だけ。私と空は自宅だから、普通にしてないと逆におかしいでしょ。
「ねー空くーん。お願いだから芸能人になってくんない?そんでグラビアアイドルと友達になって俺に紹介してよ。」 「嫌に決まってるじゃないですか、そんなん!ってかなんで俺なんですか!?姉ちゃんにすれば!?」 「うーん…こいつは普通だから。」 「でも普通に可愛くないですか?」 「まさか、空くんってシスコン?」 「いや、違いますけど。」
なに、うちの空と変な会話してんだバカヤロー。 空が芸能人になると思うか!?絶対ェなんねーよ。ありえねーよ。
「なんで、凛の家こんなにでかいアルか?」 「んーそこまででかくないと思うけど…」 「でかいアル!びっくりネ!」 「お母さんとお父さんは?」 「今海外で仕事中。一応社長やってんだよ、あんなんでも。」 「しゃっちょさーーん!?」
なんでそんなイントネーションなのか分からないけど、言ってることは間違ってない。 私の母親と父親は現在海外で仕事中。父親は一応、有名ブランドの社長。母親はモデルをやっている。 子供すっぽかして海外で遊びほうけてると思っただろうけど、私の親はそんなことしないよー
というか、お母さんとお父さんと弟はすごい奴なのに私だけがこの家族の中で失敗作なんだよね…。 すっごい悲しい。泣きたくなるよ。
「どんな人?」 「説明しにくいな……」 「あ、写真見ます?」 「見る見る。お母さんの特徴は?」 「だから説明しにく…「おっぱいでっかいッスよ。」空ぁぁぁああ!」
アンタなんてこと言ってくれるんだ!絶対、先生お母さんのこと口説くだろ! やめろよ、お母さん面食いなんだから!私はそのお母さんの血を受け継いだのだよ!
「はい、写真。」
空が持ってきた写真は私と空が丁度七五三のころの写真が写っていた。 真ん中にお母さんとお父さんが椅子に座っていて、私と空はそのひざの上に乗っていた。 我が両親……なんでこんなんなんだ…。
「うわ、きれーアル!なんでヨ!?凛とは大違いネ!」 「え、なにそれ。」 「ほんとでさァ。凛が馬鹿みたい。」 「だからさぁ、それやめてくんない!?地味に傷つくの!」 「高杉にメールするわ」 「え!?なんて!?」 「あら、そこに食いつくの、凛ちゃん。」
もう疲れた…一々みんなのに対応してると私の身体がもたないよ…。 3Zの連中は本当に疲れる。なんで、私こんな奴らと一緒にやってけてんだか、自分でもたまにすごいと思うよ。
「で?なんてメールしたんだ、マヨネーズぅぅうう!」 「マヨネーズ言うなァァァ!!」 「つーか、ケーキ出せよ。水城か空。」 「あれ?俺のことももう呼び捨てですか。」
空がケーキを取りにいってる間に私は土方君にメールを見せてもらう。
『凛んちなう。アイツのちっちゃいころの写真あるぜ?来れば?』
なにこれ、ツイッター?なうって…。 ちっちゃいころの写真ったって、七五三の写真なんだけど。そんなにたいしたもんじゃないし。 わーわーぎゃーぎゃーやってると私の家にピンポンと小さな音が響いた。
ま、マジで来たァァァァァアア!!
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