その後、高杉はすぐに教室に戻って真面目に授業を受けたらしい。 私はその場でうずくまって、ダラダラと変な汗を流しながらぶつぶつと考え事をしていた。 授業なんてとっくに終わっていて、ああ、そういや前にもこんなことあったな、なんて思いながら教室に戻ってみると沖田くんに足を踏んづけられた。
「あああっしぐぁぁあ!!」 「てめぇらどこ行ってたんでィ。高杉が随分と珍しくご機嫌だったんでね、変だなぁと思いやして。なにがあったんだ、吐けコノヤロー」 「ち、ちょっと待ちませんか、旦那ァ!いくらご機嫌だったからって、私の影響だというのは極めて少ないでしょうし…」 「ほぉう?言い訳かい、小娘…。吐くまで帰れると思うな、コノヤロー!!」 「神楽ちゃんまでェ!?」
私の味方なんて誰一人いないんだ…、私は寂しい子なんだ。一人ぼっちなんだァァア!! 沖田くんに足を踏まれたままなのを忘れていて、沖田くんに足のことを指摘したらもっとエスカレートして。 神楽ちゃんまで私の足を踏んづけた。沖田くんが踏むより数倍痛い。 神楽ちゃんは一体どれほど怪力なのだ!?
「んま、言いたくねェならいいでさァ。ただし……」 「え!?何!?条件付なの!?」 「ご名答」 「そんなァァァア!!」
カムバック、私の楽しかったあのころ! いや、今でも楽しいのかもしれないけどさ。てか、今の方が楽しいかも、うん、そうだな。
「おーい、てめーら席つけーLHRの時間だよ」
子ども達に大人気のねずみさんの真似をして、言ったけど全然似てない坂田さん。 そんな坂田さんは教卓の前に立つなり、黒板に四文字書いた。『修学旅行』と。
「今日はお前ら、コレについて話し合うからなー。なんで三年になって修学旅行?とか思うかもしれないけどいいの。気にしなくていいの!じゃあ、なんか班とか適当に決めといてー」 「もっと真面目にやってくださいよォォォォォ!!」
新八くんのキレのあるつっこみが炸裂した。銀八は「うっせーよ、眼鏡」とジャンプを読みながら言った。 アイツ、真面目にやる気ゼロだよ。完璧やる気ないよ。 と思っていたんだけれども、教卓にがんっ!と箱が置かれて、その中身はクジだった。 なるほど、そのクジで班を決めろと。
「じゃ、後は勝手にやってねー」 「お前もシャキっとしろよォ!」
適当にみんながクジを引いていく。私も引いた。紙には3と書いてあった。
「3班だぁーれッ?」 「俺でさァ」 「チェンジで」 「おい、てめー殺すぞ」
いや、もっとマシな人かと思ってさぁ、ちょっとノリノリでだぁれ?って聞いてみたけど。沖田くんかよ。沖田くんかよ。 一班に女子二人、男子二人だって言うからも一人女子がいるはず。 志村さんは柳生さんと同じ班っぽいから、違うな。じゃあ、ほかに誰が……
「げぇ…サドと凛アルか?最悪ネ」 「え、それは私にも言ってるのかな?」 「そりゃこっちの台詞でさァ」
なに。なんでこの二人火花散らせてるの。もの凄く邪魔なんだけど。邪魔って私が邪魔か。ああ、ではたいさーん。 一歩後ずさりしたところでどん、と誰かにぶつかった。思わず「げ、」と声を上げてしまうような人物。
「あ?んだよ、てめーも3班かァ?」 「え…、まさかアンタも…?」 「ああ」 「ぎゃああああああああ!!」
最悪の班だァァァァァァァァ!!
私の修学旅行は一体どうなるのでしょうか…
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