「一体どこからこんなものを…」 「どうしたのよ、凛ちゃん。さっきからぶつぶつうるさいわよ」 「いや、ちょっとさぁ…」
高杉の持っていた写真を片手にぶつぶつと独り言を口にする私。 傍から変な人だ。馬鹿だ。 まあ、変な人だからいいんだけど。
「高杉がこんな写真持ってたんだよね。どこから手に入れたのかなーって思って…」 「何アルか、この写真!?超ウケるネ!校長、鼻の下伸びすぎアル!」 「本当だわ!こればら撒きましょうよ!」 「え、ばら撒かないって約束で私の停学といてもらったんだけど」 「停学じゃなくなったのかヨ!よかったネ!」 「ねえ、それ本当によかったと思ってる?なんか思ってない気がするんだけど」
神楽ちゃんはププーっと笑いながら私のことを馬鹿にしたように見てきた。 まあ、こんな風に見られるのは分かってたんだけどね。 志村さんから写真を返してもらい、私はもう一度それを見る。
馬鹿な私でも分かる。 こんなに女の人が沢山いるところっていったらそりゃあ……。 ズキンッと胸のうちが痛くなる。 別に高杉がそういうところに行ってるからって私には関係ないんだし!痛くなること…ないはずなのに……。
「凛ちゃん…顔色があんまりよくないわよ。大丈夫?」 「え、嘘、マジ?顔色悪かった?」 「悪かったっていうか今でも悪いわ。保健室行かなくて大丈夫?」 「大丈夫だと思うよー」
昼休み終了のチャイムが鳴る。私たちはそれと同時に屋上から姿を消した。 高杉から奪ってきた写真を持って。
「おめーら、おせェぞ。成績下がるぞ」 「私たちは早く行こうよーって言ったアル。でも、凛がちょっとくらいいいじゃんって言って聞かなかったネ」 「え!?私、そんな事言ったっけ!?覚えがない…」 「犯人は決まってそういうのよ、凛ちゃん」 「犯人!?私犯人なの!?」
とりあえず席に座る私たち。写真を高杉に返そうと、思ってふと隣の席を見ても誰もいなかった。 あれ?アイツどこ行ったんだよ。いなくね?サボり?
「せんせぇー!高杉くんがいませーん!」 「あ?別にいいだろ、どうせアイツサボってんだろ」 「よくねーよォォォォ!私が銀八に頼まれてるんだからな。怒られんの私なんだからな!ちょっと探しに行ってくる!!」 「あ…おい、水城!」 「凛、待て!」
土方くんと数学の教師が私のことを止めた。だけど、私の足は止まらない。 なんでか知らないけど、心臓がうるさくって仕方がないんだ。
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