なんか和菓子になってるし、だったら饅頭がいい




「はぁ……」

学校に行く途中なのに、私は深い深いため息を吐く。
自分で自分のことを可愛そうな子だとしみじみ思う。
母さんから来たあのメールを見れば誰もがそう感じるだろう。
私のお母さんは常識から大分ずれている…というか、非常識を飛びぬけて非常識というか…。

「お、丁度いいところに。水城、お前これ持ってけ。」
「ぶっ」

坂道をものすごい低いテンションで降りていたら高杉に思いっきり鞄を投げつけられた。
頭にすごい勢いで当たって思わずこけてしまいそうになったぜ、ちくしょー!

「てんめ…高杉ィィィィィィ!お前、自転車乗ってんだから自分で持ってけや!私歩き!歩きなんですけど!?」
「スパッツなんて色気ねェもん履いてる奴に言われたかねェ」
「な…スパッ…!!」

ぶわぁぁ、と風が吹いているのに気がついた。風が吹いている=スカートひらり。
高杉のことにすっかり熱くなっていた私だけど、これは更に顔が熱くなりそう。
高杉は自転車に乗りながら私のことをけっけっけっ笑いながら学校へ向かっていく。

「あ…ちょ、高杉!アンタ前あぶ――」
「はぁ?」

そう言って高杉が前を振り向いた瞬間にごちん!と音がした。
高杉が振り向いたとき、丁度前にあった電柱に頭…おでこを思いっきりぶつけた。
あ〜いい音。今のなら完全に高杉逝ったかも。

「っっっっってーーーー!!言うならさっさと言いやがれ、水城!」
「なんで私!?私になんの罪もないじゃないか!」
「気づいてたんならさっさと言やァいいだろ!」
「ふっざけんな!アンタなんてさっさと逝っちまえ!」

自転車から転がり落ちるほど痛かったみたいだ。
そこまで痛かったとは……流石の私でもびっくり。
自転車から痛みで転がり落ちる人なんて始めて見たよ。

高杉は自転車に乗りなおした。

「罪滅ぼしも兼ねて持ってけ。」
「だぁくぁるぁぁあ!私はアンタのものなんか持ちたくな……ってあれ?いない…」

いつの間にかさっきまでそこにいた高杉がいなくなっていた。
どどどどどどどんだけ自転車こぐの早いんですかァァァァァァ!?

どんだけーーーー!

「ちょっと高杉ー!お、重た…っ!なんでこんなに重いの!?私を殺す気かー!ねえってばぁぁ!!」

私がどんだけ叫んだって高杉には届かないみたい。
腕時計を確認するともうすぐ遅刻というところまで針がきていた。

あーもーっっ!!こうなったのも全部、全部全部ぜーーーんぶ!高杉のせいだ!

「なんで、私はいつもいつも…!」

高杉と関わらないとならないの!?


そうだ。ランチ●ック奢ってもらおう。