「じゃあなー」 「また来るから。今度はうちにも遊びに来てね。」 「ケーキうまかったぞー」 「今度は泊まりに来るネ!」
一人ひとり違う台詞を残して行き、日が西に傾き始めたころにはもう家にはZ組の連中は一人もいなかった。 家に残ったのは私と空の二人。 空は空でゲームしてるし、私は私で空のゲームを眺めていた。
「アンタさぁ、今日疲れなかった?Z組の連中大変だったでしょ。」 「そう?俺は楽しかったけど。姉ちゃんの彼氏候補も聞けたし。」 「あ。」
そーいやそうだったァァァァァ!誰だ!誰なんだそいつぅぅう!
「教えろお前ェェェェ!」 「やだよ!教えたら俺が殺される!」 「なんでだよ!まさか、それヒント!?」
でもZ組に怖い奴らなんていっぱいいるし……。 怖いのは高杉と志村さんなんだけど。でも、一番怖いのは志村さんかも。 高杉は怖いってよりうざいだから。うざキャラだから、私の中では。
「んー…分からんわからんわからーーーん!せめて男か女くらいは教えてくれてもいいだろ!?」 「普通に考えて男だろ!お前の頭はそんなこともわかんねーのかよ!」 「男だな、男なんだな!?じゃあ高杉か!?」 「じゃあってなんだよ、じゃあってェェェェ!」 「いいから答え教えろよ!」 「教えねーよ、馬鹿姉貴。」
んだとこやつうううう! 実の姉に向かって馬鹿だと!?馬鹿だとぅ!? たしかに馬鹿だけど、馬鹿に馬鹿って言うのはよくないんだよ!? それなのにこいつはァァァァァ!
「ってゆーか。俺、彼女できた。」 「え、」 「今度、連れてくるから」
「ええーーー!?マジでか!?嘘だろ、おい!」
なぁに、こいつ! 私の先をちゃっかり越しちゃってさああっ!!私どこ行ったよ。え!? 私の恋バナみたいのはどこいったんだ、ああっ!?
「誰だよ、彼女!教えやがれ!」 「写真見る?」 「見たい見たい!」 「この人なんだよー」
空が携帯を開いてカチカチと操作しているとき、私の携帯と空の携帯が同時に鳴った。 空はタイミングわるーーと言いながらメールを開いて、私も空と同様にメールを見た。 その内容は予想だにしない人物からで……
from 母さん Sub 無題 ------------------------------------------ 凛?空?久しぶりね。母さんよ。 休みが取れたからそっちに帰ろうかと思ってるの。 父さんは仕事が忙しくて行けないみたいだから母さんとのラブラブ写真を持っていってあげるわ。 一斉送信で悪いけどもうすぐ可愛い二人に会えると思うと我慢できなくって…早く連絡したかったのよ。 それじゃあね。
度肝を抜かれた。
「え、なにこのメール。夢?内容がないよー」 「内容はあるけどよぉ…どーでもよくね?うぜくね?なに、ラブラブ写真て。ムカつくんだけど。」
あ、そういえば空。彼女できて、家に連れてくるとか言ってたけど……これじゃあ連れて来れねーな! ざまーみやがれェェェい!
私は空をざまーみろという顔で見つめる。 空はうぜーと愚痴をこぼして夕飯の支度をはじめた。
「ちょ、ちょっと待てよ…母さんが来るってこたァ……」
い、家中を掃除しなければならないィィィィィィィ!!
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