もう、たい焼きでよくないか?




え!?何!?早くないか!?なにアイツ!足速っ!!

「ねえ!これどうすればいいかな!?ねえ!土方く〜ん!」
「知らね」
「てんめぇぇええ!お前が誘ったんだろーがよ!ふざけんなああああ!」

一人奮闘する私をよそのその他のメンバーは私の家を自由に満喫している。
おい、お前らァァァァ!!なに人の家自由に満喫してんだよ!私の非常時には知らん顔!?
なんだもーこいつら。

私がちんたらしてる間にお客様…というか高杉はインターホンを連打していた。

「はいはいはいはい!出りゃいいんだろ、出りゃ!」

ズンズンと玄関へ向かい、ドアを勢いよく開けるとそのドアに鼻の頭をぶつけた高杉がいた。
イライラした表情で待ってたけど、鼻をぶつけて鼻の頭をすりすりと痛そうに撫でる…。

「…ぷっ、はっはっは!マジ面白い!アンタ何!?鼻ぶつけてるし…面白…っ」
「コロス」
「は、はは…すみませんしたぁぁぁあ!!」

高杉は私の横をするりと抜けて勝手にズカズカと私の家へ上がっていった。
…なに、アイツ。さっきまでイライラしてたのに…。まだイライラしてんのかもしんないけど。

私がみんなの場所へ戻れば普通に溶け込んでる高杉がいた。
空とも普通に仲良くしてるし。
なんだ、普通じゃん。

「おーい、水城!お前何してんだよ!俺のケーキ出せや!」
「なんでお前に命令されないといけないんだァァァァァ!!空、ケーキってある?」
「多分、冷蔵庫に入ってる。」

なんだかんだ言って、取りに行ってあげる私ってえらい!んでもって、優しい!
なんて最高な女の子なんでしょう。

私がみんなのところへ戻るとそこではまた別の話題に変わっていた。
その話題は私にとってはいいもんではなく……

「それで、姉ちゃんの彼氏って誰なんですか?」

シーーーーン…と場の空気が馬鹿な弟のせいで一気に変わった。
KYか。アイツはKYか。兄弟揃ってKYって一体どういうことだ。KY家族か、私たちは。
みんなは口をぽっかーんと開けて硬直してるし…なんてーか、ほんっと馬鹿だな、アイツは。

「ば、馬鹿か貴様ああああ!空気を読め、空気を!ありえないっしょ、私に彼氏なんて!いないから!これから作るの!私の青春はこれからなの!!分かったか、空!」
「空くん。お姉ちゃんはまだ彼氏いないから。ってか、こんな奴に返しが出来ると思うか?」
「でも、彼氏候補ならいるわよ」

にっこにこで志村さんが言う。
こ、こほうううう!?間違えた。候補おおおお!?

「ソンナヤツドコニイルンダヨ」
「なんで片言なんだよ!」
「え、で、誰なんだよその人!俺にも教えてくださいよ。ってか、姉ちゃんは知らないの?」
「んー、まあ…」

そう言って先生は空の耳の近くまで行き、こそこそと空に耳打ちした。
じ、地獄耳の私でも聞こえない…!!くそぅ!アイツらなんなんだ、本当に!

「え、マジすか!それって姉ちゃんの片思いじゃなくて、姉ちゃんが惚れられたんですか!?」
「そうなんですよ。まっさか、水城にほれるとはね…俺も想定外だったわ。」
「なんだそれェェェェェ!!知りたかったけど、いきなり知りたくなくなったよ!」
「じゃあ知らなくていいよ。」

ええーーー!?でも、やっぱ知りたい。