[君と出会って](1/3)
…ああ、俺はもうすぐ死ぬんだ。
「おい!しっかりしろ総悟!!」
そんな土方さんの声も遠くなる。
俺は死ぬんだ。
手足の感覚はほとんどなくなった。
「土方さん…自分が死ぬときくらい俺にだってわかりまさァ…」
「そんな事言ってる場合じゃねーだろ!」
戦場でもう刀を握ることも出来ねェなんて…
情けねェ……
土方さんより先に死ぬなんてもっと情けねェや…
「ははっ…土方さんは大袈裟なんでィ…死ぬやつの手当てしたって何にもなんねーよ…」
「うるせェ、もう喋るな…!!」
「俺がいなくなっても…真選組を頼み…まさァ……」
姉上…もうすぐ逝きまさァ…
俺の目の前がグルリと回転する。
ああ…俺は死んだんだ。
「……おーい…大丈夫ですかぁ?」
誰かの声がする。
姉上…?姉上の声か…?
「ちょ…ここ人んち!!朝から私のベッドん中で寝てたのに、起きないの!?目ェ覚ませ!」
顔をべチンと叩かれた。
それもかなりの力で。
俺は…死んだんじゃないのか?
ようやく目を開けるとそこに移ったのは姉上であって姉上でない。
おしとやかな姉上の顔と凶暴な姉上が混ざった感じの女だった。
「あ、起きた。」
「痛…何すんでィ…」
「喋り方独特ぅ〜…。起きないからさ、引っぱたいたんだよ。アンタ、名前は?」
「沖田…総悟」
「ふーん…沖田総悟かぁ…で?何の用?朝からto loveるごっこですか」
ふかふかと俺が座っているところはベッドだった。
ピンク色の、女が使うような。
なんで、俺はこんな所に……
「てめぇ、名前はなんていうんでィ」
「スルー!?私は一之瀬美香。美香って呼んでくれればそれでいいよ。私も総悟君って呼ぶから」
「じゃあ、美香。これから俺が話すこと絶対信じてくれやすか?」
「もちろん」
美香は、俺が思ってたより全然いい奴だった。
信じれくれなかったら今度は俺が引っぱたいてやる。
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