『銀ちゃんのばーーーか!!』

「うるせェな…二日酔いなんだから静かにしやがれ」


今日、銀ちゃんと一緒に出かける約束をしていた。
なのに、銀ちゃんは二日酔いだから行けなくなったって…。
楽しみにしていたのにこのザマだ。
かなり凹む。


『いいもん!家出してやるもん!!』

「勝手にしやがれ」


私の中で何かが切れた。
絶ェェェェ対帰って来てやんねーもん!
一生武蔵と一緒に暮らしてやるゥウ!!

外に出ると雨が降っていた。
傘も持たないで出てきた私はビショビショになりながらトボトボと歩いていた。


「あら、名前ちゃん?どうしたの?」

『おっ妙ちゃんンン!!』


お妙ちゃんに会えたのが嬉しくて思わず抱きついた。
お妙ちゃんはビックリしてる。


「どうしたの!?傘も持たないで…ビショビショじゃない!」

『…あっああ……。大丈夫大丈夫!じゃあね!』


お妙ちゃんと別れて私はまた一人でトボトボと歩き出す。
気がつけば私は知らない橋の下に一人でうずくまっていた。


『ハクシュンッ!』


さっきからくしゃみがとまらない。
風邪引いたかな…。
銀ちゃんのこと許してあげればよかったかな…。
でもこれでドタキャンは何回目だろう…。
急上昇していた私のテンションを急降下させたのは何回目だろう。
それを考えるとこれでよかったと思ってしまう。

だけど……
ちょっとだけ銀ちゃんに来てほしい。
私を探してほしい。


「こんなところで何してるんですか、お嬢さん」

『え…?』


顔を上げれば見慣れた白くてフサフサの頭と私の大好きな顔があった。


「ほら、風邪引くぜ」

『お、遅いよ…。引いちゃったよ…もう…』


差し伸べられた銀ちゃんの手を見て涙がボロボロとこぼれてくる。


「ドタキャンしたお詫びに、プレゼントだ」

『綺麗……』


銀ちゃんが指差した先には綺麗な虹がかかっていた。
…これならドタキャンされても悪くない…。


Rainbow

(やっぱり銀ちゃん大好き!)
(よかったですね、名前さん)
(ベタだったけどね。嬉しかった)
(ベタは余計だ)



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