「そういや、あやって好きな人いるんですかィ?」
「この間の話…聞いてなかった?い、いるけど…?こんな恥ずかしいこと何回も言わせないでよ…」
明らかに赤い顔で言葉を紡ぐ。 こんなトマトみたいな顔、沖田君に見せたくないな。 だからあたしはずっと俯いたまま歩いていた。
「沖田君は…?いるんでしょ?」
聞こうか聞かないか迷った。 でも、聞きたかった。 少しでも安心したかったから。
いるって答えが返って来てもあたしだって可能性は0%じゃない。 いないって返って来てもこれからあたしを好きになってくれる可能性は0%じゃない。
だから、聞いた。
「いやすぜ。」
「へぇ…どんな子?」
そこまでは聞く気なかった。 でも、口が勝手に動いてしまった。
後で後悔しても、しらないぞ…馬鹿あや。
「内緒」
口の前に人差し指を当てて笑う沖田君に胸がキュンと高鳴る。 やっぱりあたしは沖田君が好きなんだ。 きっとあたしは、沖田君のことが今まで好きになった人の中で一番好きなんだ。
こんなドキドキしたの、沖田君がはじめてだよ…。 こんな赤面したのも沖田君がはじめて…。 沖田君が色んなはじめて…。
「あやの好きな人は?」
「ん?内緒」
あたしも沖田君の真似をして、人差し指を口の前に当てて笑ってみた。
「可愛い」
「う、うるさい…っ!!」
予想外の返事に戸惑ってしまう。 でも、そんな事言っても…本当は心のずっと奥深くでは、
嬉しい
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