「銀時ィィィィ今日こそ家賃払ってもらうよォォォォ」 お登勢さんのご登場。あたしの朝はいつだってこうやって始まる。からくり家政婦たまさんが玄関を壊し、中に入ってきて、部屋の中をボロボロにする音。轟音から 始まる。たまさんはあたしが来る前に銀時たちに助けられたからくり家政婦らしい。江戸中の電気が落ちた、あのからくりのクーデターだろうか。それくらいしか思い当たる節はない。だとしたら、結構やばいことなんじゃ……まあ、私も同じような立場にいるワケだし 内緒にしといてあげよう。 「生体反応が一つ。銀時さまはいないようです」 「一つ?なんだ、泥棒でも入ってるっていうのかい。キャサリン」 「オトセサンワタシナニモヤッテナイ!」 「ぇえっと…」 恐る恐る小さく手を挙げてみる。ジロリと向けられた目。恐くてまっすぐ見れなかったけど、お登勢さんは私を見るなりタバコを吸って息を吐いた。 「…ついてきな」 「は?」 ************* スナックお登勢。万事屋の下にあってお登勢さんがオーナーをしてるところ。従業員はキャサリンさんとたまさん。…他にもいるのかは謎だけど私が知っているのはその二人だけだ。 「あら、以外と似合ってるじゃないか」 「ワタシニハマケルケドナ」 「お前ェには勝ってるよ!」 「あ、あの……これ…」 いつものボロい着物ではなくてキレイな着物を着せられた。こんなもの着たのは何年ぶりだろう…お登勢さんに感謝しなきゃ。 私のボロボロの着物はたまさんによって燃やされた。おいィィィィそれ私の唯一の着物なんだけどォ!それがないと私裸なんだけどォ! 「アンタ、銀時ンとこに最近来た輩だね。アイツら、ロクに家賃も払わねェで困ってんだ。金が払えないなら身体で払ってもらうしかないね」 「身体で、って……」 「腎臓売り飛ばすなんてことはしないさ。ただちょいと働いてもらうだけだよ」 「ババア!未来が帰ってこねェんだ」 「どうしたんだいそんなに慌てて。未来放ったらかして出てったのはアンタらだろうが。未来ならそこに」 「いらっしゃいませ…」 なんだこれ。なんで私こんな事してんのォォォォ!?働くってコレ身体でってコレ。思いっきり労働させられてるんですけど、何がちょっと?これちょっとじゃないけど結構きついよ… 「お前なにしてんの」 「げぇ…誰かと思ったらお前か!チックショー恥かいた」 「恥かいたじゃなくて、お前なにしてんの」 「未来ちゃん!こっちこっち」 「あ はーいっ、ほら帰れ事情はあとで説明してやっから」 スナック。親父しか来ないのか、ここのスナックは。やっぱり従業員がおばさんだと客も結構年配っていうか…たまさんは若いのに。だからか、キャサリンさんに客がいかないのは。 「今説明しろ、ババアこいつ借りてくぞ」 「借りるってアンタ…今そいつはここで働いてんだよ家賃滞納のせいでさ」 「あとでちゃんと返品すっからよ」 ピシャリと閉められた扉。別に戻りたいワケでもないけど戻らないとお登勢さんに申し訳ない気分……ひょいひょいと扉に手を伸ばしてみるけど届かない。伸ばした手は銀時に掴まえられた。 「お前さ、こんなところで何してんの」 「聞いたでしょ。家賃滞納してるっていうからその分働いて返すの」 「別にここで働く必要ねェだろ、なんでババアだらけのスナックなんだよ」 「お登勢さんに連れてこられたの、家賃回収に来たときにとっ掴まってそんでこんなキレイな着物も着せてもらって…」 悪いのは家賃滞納してるお前らだ!って言いたいところだけど私も無償で住ませてもらってるワケだし、そんな事言えない。 「帰るぞ」 「はっ!?ちょっと待って、せめて挨拶だけでも…」 「うるせェ、こっちだっていきなり消えたからびっくりしてんだよ。神楽と新八が心配してんだ」 スナックで働きました 初仕事は万事屋の仕事じゃなかった。万事屋に帰ったら神楽と新八くんが笑顔で迎えてくれた。神楽は「心配してないネ!」と言いながら腹を殴ってきた。それが神楽なりの照れ隠しなんだろうけど……スイマセン マジ痛いから。お登勢さんのところにごめんなさいって言いに行かなきゃ |