もうそろそろ受験だ。わたしは受験を控えている。どうしても遠くの学校に行きたくて必死で勉強している。
「英語ってさー…理解不能だよね。わたし日本人だよ?外国なんて一生行かねーし。使いどこ分かんねーし。ふざけんじゃねーし。やべっ、愚痴りすぎた」
「あんまり愚痴るな。謝れ外国人の人に謝れ」
スイマセンと謝ってもう一度テキストに向き直る。勉強を見てくれている総悟はわたしの恋人で、頭もいいし、わたしにとっては自慢の彼氏だ。総悟から見たわたしはどうなのか分からないけど。
だけど、わたしは遠くの学校へ行ってしまうから総悟とは少し遠くなってしまう。総悟はなんとも思ってないみたいだけど、わたしはもの凄く悲しい。それでも自分で決めたことを曲げるのは嫌だ。でも総悟と離れるのも嫌だ。そう考えるわたしは我が儘。
「もうやめた。やる気なくした。変なこと考えたらもうやる気なくした。そーごぉぉぉぉおおお」
「へばりつくな鬱陶しい」
「総悟はいつでもわたしに冷めてるよね」
そう言うと黙りこくってしまった総悟。わたしの部屋にある少年漫画に手を伸ばす。わたしの顔を見ようとしない。それが照れ隠しなのか本当に見たくないのかは恋人のわたしでも未だに理解不能。
「そぅ…っ」
漫画を見る総悟の顔を覗いたら強引にキスされた。長いキスで酸欠になったわたし。ハァハァと酸素を吸っていると総悟に後ろから抱きしめられた。
「俺だって…お前に勉強なんか教えたくないんでさァ……俺の隣に名前がいないのなんて考えられないんでィ…っ」
わたしはその言葉で胸が一杯になって、行きたくないという気持ちがあふれ出そうになった。わたしは総悟に申し訳ない気持ちで、ぎゅっと力強く抱きしめた。
さよなら、大好きな人
受験に合格したわたしは真っ先に総悟に知らせた。総悟はわたしを笑顔で見送ってくれた。それがわたしは嬉しくて、最後だけ大泣きした。
(20110204/藍田雛)