大晦日、俺の家に奴が来た


「とっ…とと、泊めてくんない」
「は?」


泊めてくんないってナニソレ。名字が俺の家に?わぁ、ないわぁ。しかも今日は大晦日。なんでそれなのにこいつと年越さなきゃなんないんでィ


「バッチリ聞こえてるからね沖田くん。心の声が私にまるぎこえだよ」
「帰れ」
「えーお願い沖田。泊めてってばァ!沖田さまァァア!」


ドアを閉めても足を引っ掛けて閉まらないようにする名字。なんでそんなにしてまで泊まりたいんだ。好きなのか、そんなに俺が好きなのか。どうしよう告白されたらどうやって断ろう。


「家にさー母さんがまた知らない男の人連れ込んできたの、だから家にいたくなかったの!悪かったな急に押しかけて!帰らないけど」
「えー帰るって言ったら引き止めてあげたのにー」
「帰る」
「……」
「アレェェ引き止めるんじゃなかったのォォォォ!?」


そういえば、名字の母ちゃんは昔から男癖悪くてすぐに旦那と別れて、それから家に男連れ込むようになったんだっけか?そりゃ家にいるの嫌になる。家に男が来るたびに俺の家に来てるなーそういえば。だからってなんで俺の家なんでさァ


「沖田が一番信用できるじゃんかー長い付き合いでしょ泊めてよ。不祥事が起きたら銀ちゃんに言って殺してもらうから」
「なんで銀八なんでィ」
「いーじゃん別にー紅白見たいんだよ入るぞー」


勝手に人の家に入るな。腹立つこいつマジ腹立つ。普通、人の家に勝手に入ってテレビつけて冷蔵庫開けて食いもん漁るか!?
親父だ。こいつ完全に親父だ。だってスルメ食ってるもん、なんでスルメチョイスなんだよ。


「奈々ちゃん頑張れェェェ!」
「もういい加減帰ってくんねェかなァ、マジ殺すよ?土方と一緒に」
「土方と一緒に死ぬくらいなら高杉と死ぬほうがマシだ」
「それは同感」


もうそろそろ時計が十二時を指す。年越しソバなんて面倒くさいから作らねェけど 名字が勝手に作り始めて十分ちょっと。名字は料理下手だから多分ソバなんて茹でてねェんだろ、どうせ緑のたぬきだろ分かってるよそれくらい。何年一緒だと思ってんだコノヤロー


「できたーきつねとたぬきどっちがいい?」
「きつね」
「仕方ないから今日はきつね譲ってやる」
「上から目線ヤメロ」


テレビではどのチャンネルを回してもカウントダウンをやっている。カウントダウンしか見るもんねェし、とりあえずテレビをつけっぱなしにしていた。横からは名字のズルズルと緑のたぬきをすする音が聞こえてくる。
ほんっと親父じゃねェかこいつ。本当に女子高生なのか?ただの親父だろ、もう親父になっても生きていけるだろ


『さん にー いーーーち!』


テレビからバカでかい声が聞こえたとき、名字は驚いたのかソバを喉に詰まらせてげふげふと咳き込んでいる。


「あけおめーー!沖田あけおめ!今年は色々世話になりまくった、そして世話してやりまくった。今年もよろしくね!」
「世話になりまくってねェよ、俺が世話してやりまくったんでさァ」
「アレ?そうだっけ?まぁ、よろしく。よかったー沖田と年越せて」
「…死ね」
「は?なんで?意味わかんないんだけど!」


今年もよろしく。




年越しは君と二人で


(20110101/藍田雛)
沖田は絶対にツンデレだと思う。
あけましておめでとうございます。2011年もraskaをよろしくお願いします!



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