優しさに触れる



「今日ベルに、なまえがスクアーロ隊長のセフレだって噂本当?って聞かれた。」

一頻り愛し合った後、ベッドの中でそんな話題を持ち出した。スクアーロは何が可笑しいのか、口を隠して笑いを堪えている。スクアーロが行為中に私の名前を呼ぶようになってから、私達の関係は恋人同士に昇格。セフレだなんて心外だ。

「笑い事じゃないよ!噂になってたなんて。」
「この間までそんなもんだったじゃねぇか。」
「私は!…好き、だったもん。前から…」

枕に顔を埋め、悔しさから小さく唸り声を上げた。確かに先日までの関係をセフレと言われては否定出来ない。私の想いが届かぬまま、離れたくない一心で抱かれていたのだから。

「そんなことを言うなら、俺だって好きだったぞぉ。」
「ならもっと早く言ってよ!」
「…惚れられてるって確信がなきゃ何も言えねぇビビりなんだよ。男ってやつは。」

行為中、私の名前を呼びたくなかったのもそのせいらしい。まだ自分のものにしてないから。って、どんな理由だよ…まぁ、何はともあれ今は無事に公表出来る関係になったわけだ。だからと言ってわざわざ公表する気もないけどね。

「遊びだったくせに。」
「分かってねぇなぁ。」

遊びだって構わない。自分の気持ちなんか伝わらなくたって。その晩、その時だけでも惚れた女が自分に縋るのなら…それで満足だったんだとスクアーロは言う。

「何?スクアーロは私が遊んでると思ってたの?失礼ね。」
「なまえも俺が遊んでると思ってたんだろぉ?お互い様だぁ。」

同じ気持ちだったなんて、そんなの気づけるわけない。確かにお互い様だけど、スクアーロの方が狡い気がする。私の好きだって気持ちを、少しずつ確信に変えてたんでしょ?私は確信なんて欠片も掴めなかったのに。ふいっと顔を背けると、スクアーロは私の頬に優しくキスをした。大きな手で頬を撫で、低い声で可愛いと囁く。畜生!どうして私はこんなにこいつに弱いんだ!

「拗ねてんじゃねーよ。ほら、まだヤるんだろ?」
「…ん。」

ころんと転がって天井を向いた。頬に触れていたスクアーロの唇が首に鎖骨に、徐々に下がってく。ついには胸の突起をかぷりと噛まれ、綺麗な髪を強く握った。

「なまえ…」
「な、に?」
「呼べよ。呼びたかったんだろぉ。」

長い指が下腹部を走り、気持ちいいところをグリグリと押す。私は肩をビクつかせながら、先程の行為で嗄れてしまった声で、呼んだ。

「ス ク、あ…スクアーロ。…好き。」
「ああ。俺もだぁ。なまえ。」

私は虚ろな瞳に映ったスクアーロに手を伸ばす。



優しさに触れるまであと数センチ



091212

最後はあんましエロくならんかった


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