声、聞きたかったの



私が望んだのは、体を重ねていても名前を呼び合えるような関係。この気持ち、真っ直ぐスクアーロに伝われ!って、何回も念じたよ。だけどその気持ちが伝わることはなくて、これから先もないと思ってた。

「スクアーロ、今晩空いてる?」
「…任務が入ってる。まぁ日付が変わる頃には戻ってくるぜぇ。」
「なら部屋で待ってる。」

その晩、スクアーロは日付が変わる一時間前に帰ってきた。早かったねという一言への返事は、なまえが待ってるって言ったから、だ。嬉しかったけど、素直に嬉しいとは言えない。言っていいのか分からない。




「も、っと足開けよ。」
「あっ…や、そんなに、は、だめ…」
「駄目じゃねぇだろぉ。すげ、濡れてる。」

スクアーロは忘れてしまったのだろうか。先日の台詞を。“好きだ”言葉の切り抜きではあるが、確かにそう言った。私はそればかり気になっているのに、スクアーロは、気にしてない?場の雰囲気とか、ノリで言っただけだったのかも。

「んっ ん、気持ちいっ、あっ」

ぎゅううって奥に押し込まれて、痛いようで気持ちいい微妙な感じ。だけど目をうっすら開けてスクアーロの顔を見れば、その微妙な感情は快楽へと大きく傾く。ぎゅって目を瞑って射精感に耐えているスクアーロは、紛れもなく雄で、それに発情する私は雌だ。

「あ゙っ、無理、我慢出来…ねっ」

スクアーロがぴくりと肩を浮かせた。出た、のかな。私がイく前に出すなんて珍しい。ずるりと抜かれたペニスはまだ大きくて、出たのは気のせいだったのかとすら思った。スクアーロはゴムをゴミ箱に投げ捨て、私の頬にキスを落とす。私はそれで満足だったのに、それを良しとしないのが雄なのか…二本の指を膣に入れ、ぐちゅぐちゅとナカを掻き乱していく。

「ああっ い、やめっ…ぁ゙っ」
「ほら、早くイけ。なまえ。」

どくん。そんな音が聞こえた。いつも頭の中で再生していた声が、今リアルに聞こえて、膣がきゅうって締まる。いいんだろうか。この言葉を口にしても。

「あ、ろ…すく、あーろっ」

スクアーロの首に腕を回して、力一杯抱きしめる。しかし尚与えられる刺激に体が耐えきれず、絶頂を感じた後にはぱたりと腕が落ちた。額からは汗が流れ、息もなかなか整わない。

「ス、クアーロ…?」
「また勃ってきた…もうちょっと付き合え。」
「ええっ、むっ、無理!体力なっ…あっ」



目には見えないが、スクアーロと私の間には確実に大きな変化が現れ始めた。現に彼は、二度目の行為の途中でも私の名前を躊躇いもなく何度も呼ぶのだから。



そう、その声、聞きたかったの



聴覚が犯される瞬間。



091208


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