全てを見透かされてる
「なまえは、俺のことをどう思う?」
任務帰り、何気ない会話の中にそんな話題を持ち出してきたスクアーロ。そんなの、私が聞きたいよ。スクアーロは私のことをどう思ってるの?
「んー…強いなぁ。とか、声が煩いなぁ。とか、そんな感じ。」
「それだけかぁ?」
「分かんないよ。いっぱいあるんだから。足の歩幅が広いなぁとか、今靡いた髪が綺麗だなぁとか、一秒毎に増えてくの。」
私がそう言うと、悪いと一言謝り、スクアーロの歩幅が狭くなった。そんな意味で言ったんじゃないけどね。その時、スクアーロは?と問い返す勇気が、私にはなかった。
「っ!あ、そこ、きもち、いっ あっ、んっ」
「ここ、だろぉ?…知って、る。」
任務から帰れば、お互いの名前を呼び合えない関係に変わる。シャワーを浴びてスクアーロの部屋を訪ねれば、スクアーロは遅かったなと言って私をベッドに招く。そこからはいつもあっと言う間。
「ひっ、や…ぁ、イ、っちゃい、そ…」
「ゔお゙ぉい!まだ早いぜぇ?もうちょっと楽しませろぉ。」
私の皮膚を優しく撫でるスクアーロの手が好き。唾を飲み込む時に上下する喉仏が好き。何とも言えない眼差しをするその目が好き。言いたいよ。こんなに大好きなんだって、伝えたい。
「な、俺のこと、ど、思う?」
またそれ?人の片足を高く持ち上げながら言う台詞じゃないよね。それにヌルヌルする結合部に意識がいっちゃって、応える余裕なんかない。それでも無意識って凄くて、何も考えてない分、正直な言葉が出てしまう。
「あっ、あっ…っき、好、っ!んっ、んー」
好き。って、言い掛けた。スクアーロの深い口づけによって阻止されたけど、それはそれで好都合。言ってしまわなくて良かった。安堵したような、それでいて残念そうにも取れる私の微妙な表情を見て、スクアーロは額に流れる汗を拭いながら目を細めた。
「分かった。もう何にも考えるな…もっと喘げよ。イイ声でなぁ。」
行為中、こんなに優しく笑うスクアーロを初めて見た。それは私の気持ちを知って驚いたわけでも、煩わしがったわけでもない。本当はずっと前から知ってたんでしょ?
だってずっと前から、全てを見透かされてる気がしてたんだ
その笑顔の意味を教えてちょうだい。
091202
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