好きって、言えない
好き。好き好き大好き!こんなに想いは溢れてるのに、一度だって声になって出てくれたことはないんだ。
「すっ…く、あっ…あ、っ !」
「ヤってる時に、俺の名前、呼ぶなって言った、だろぉが。」
「っん、ごめ…」
好きだと言ったことはない。想いが通じているとも思えない。けれど体を交えることはよくある。私は一人の女として、それは変だなと思う。しかし一人のマフィアとして、こんなこともあるさと思う。表の輝かしい功績を積んだマフィアとは別に、裏でこうした子供には出来ない仕事を引き受けるマフィアもいるから。知らない顔と体を交えることもあるんだし、気持ちを知らない同僚と体を交えることだってきっと、ある。ただ、知った顔故に気まずさもあり、スクアーロは行為中にお互いの名前を呼ぶことを止めようと言った。
「スクアーロ、任務は?」
「今日はねぇ。なまえは?」
「あるよ。けど夕方から。」
「ならもう一発しとくかぁ。」
行為と行為の間、この間に呼び合う名前は、凄く特別な気がする。私はいつもこの時の、スクアーロが私の名前を呼んだ声を記憶して、行為の最中に頭で再生する。
私の想いをぶちまけられたら、こんな関係は終わる?それとも、こんな関係すらなくなってしまう?それが怖くて怖くて、私、どうしても好きって、言えないんだよ。
091129
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