結局甘やかす



「じゃあその指はスクアーロが?」

ルッスーリアは呆れた顔でカップをソーサーに置いた。私の横に座るスクアーロは、ばつが悪そうに視線を自分の斜め上に向ける。

「いや…なまえの我が儘は、愛情の裏返し、だろぉ?」
「だから愛されてるって実感出来る。我が儘を聞いてあげるのはその愛を受け止めてる証拠。我が儘言われなくなると、今まで自分の感じてきた愛は嘘じゃないのかと不安になる。そう思ってるなら、貴方は本当に馬鹿よスクアーロ。」

そう言い切ると、ルッスーリアからは溜め息が漏れた。スクアーロはムッと眉を歪ませる。そんなのお構いなしな私はスクアーロの隣でクッキーを頬張っていた。ルッスーリアが作ってくれたの美味しいしね。

「愛情だとしても、我が儘ばかり言っちゃ駄目よってなまえちゃんに教えてあげなきゃいけないの。」
「自分のことは出来るだけ自分でしろと伝えたぜぇ。なぁ?」

スクアーロは優しい視線を私に投げる。けどごめんね。クッキーに夢中であんまり聞いてなかったんだ。返答に迷っていると、スクアーロの目は徐々に鋭く、怒りを含んだものになっていく。

「ゔお゙ぉい…」
「ごめ、私の話してた?」

ごつん。頭に鈍い音が響き、頭頂がガンガンと痛む。畜生!スクアーロの野郎左手でどつきやがったな!!

「もう聞かねぇ!こいつの我が儘なんて二度と聞かねぇぞぉ!!」
「いいもーん。別に困んないし。あ、クッキーなくなっちゃった。」

額に青筋を浮かべるスクアーロをあしらいつつ、空になった手元の皿に指を這わせた。もっと食べたかったな…そう思った時、横から綺麗に皿に盛られた手付かずのクッキーが現れたではないか!私は上機嫌でそれを口に含んだ。

「スクアーロ…それが駄目なのよ。」
「…あ゙。」

本人が気づいた時にはもう遅い。スクアーロの分のクッキーを頬張りながら、もう暫くはこのまま我が儘でいても許されるかなぁなんて思ってしまう。



だってスクアーロは私を結局甘やかすんだから



「最後の一枚はスクアーロにあげるね!」


091127

どんな我が儘言ったって叶えてくれる鮫が大好きすぎて死ねる(^q^)

title:10mm.様


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -