真昼の憂鬱
どうしよ。嘘とはいえ、スクアーロに大嫌いだと言ってしまった。しかも、許してあげる。なんて超上から目線で気取って…もう、最悪。私はいつも後悔してばかりだ。
「だから優しくなりたい。」
「なら聞く相手を間違えたな。俺と無縁の言葉だ。」
「え!?怖い人程本当は優しいっていう在り来たりなパターンあるでしょ?ボスもそれなんでしょ?」
ボスの部屋でそんな話をしていた。手土産のウイスキーをグビグビと飲みながら、ボスは知るかよと言い放つ。真っ昼間から飲んでんじゃねぇよ!持ってきたの私だけど、今開けるんじゃねぇよ!
「何かアドバイスして。」
「…あんなカス、使いたいだけ使ってやればいいんだ。」
「んな訳ない。」
「そう思うなら、俺には聞くな。目障りだ。」
ふいっと顔を逸らすボスが憎い。尊敬してるけどね!忠誠誓ってるけどね!!本当にボスはスクアーロを怒らせることしかしないんだから……ん?ってことは、ボスが言ったことをしなければいいんじゃない?使えとボスが言うなら、使わなければいいんだ。
「ありがとうボス!!」
そうだったんだ。私の優しさは何も言わないこと。我が儘、言わないこと。ちょっと難しいけど、大好きなスクアーロの為に頑張ろう。
「ゔお゙ぉいボス!話とは何だぁ!」
決意した矢先、スクアーロは現れた。まさに飛んで火に入る夏の虫!あれなんか違う?いやそんなもんだ。
「スクアーロ!」
「げっ…なまえ…今度は何だぁ?」
「私、もう我が儘言わないから。」
言いたい。本当は。スクアーロが私の我が儘を聞くのは当たり前だって思ってたし、何より構ってもらいたかったから。でもさ、偉いぞぉって褒められるのも悪くないじゃん!さぁスクアーロ。私を存分に褒めなさい。
「…そうかよ。俺、馬鹿みてぇだな。ボス、急がねぇ話なら後でまた来るぜぇ。」
ばたん。閉められた扉を眺めて、私は首を傾げた。なんでなんで?スクアーロが馬鹿なことくらい知ってるけど、さっきの態度、何かおかしくない?
「ちょっとボス、引き止めてよ。急がない任務だっていつも急かすくせに!」
「うるせぇ。俺は無関係だ。」
「えええ!?」
何がいけなかったの?ぜんっぜん分かんない。本当なら今頃、スクアーロに頭撫でられながら、うふふあははな感じになってるはずなのに!思い通りにならないなんて、イライラする。
「意味、分かんない。」
ボスもスクアーロも何考えてんのか分かんない。私は爪を噛みながら廊下へと足を進めた。
そんな真昼の憂鬱
あ、深爪しちゃった。
091122
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