「暑いのはみんな一緒なんだからさ、止めねぇ?そういうの。」

ベルがしゃがみ込んで私の頭をつついた。その私はというと、アジトの廊下に寝ころび、床にべったりと張り付いている。季節的にまだ暑さなど感じないはずの今、太陽の光は容赦なく燦々と窓から差し込んでいるのだ。

「異常気象すぎる…まだ春なのに、もうヤダ。今年の夏はきっと溶けて死ぬんだ…」
「暑いのなんて昼間だけじゃん。」
「その昼間が耐えられない。」

ううっと嗚咽するような仕草を見せ、また床に張り付いた。その時、コツコツと誰かの足音が。

「ゔお゙ぉいベル、そんな所で何やってんだぁ?」
「見ての通り。」

ベルが私を指さす。やってきたスクアーロは私と一度目を合わせたものの、何も言わずに視線を逸らせてしまった。

「おっと、ボスに報告しに行かねぇと。」
「このくそ暑い中任務行ってたわけ?さっすが隊長。頑張るねぇ。」

え、ちょ、無視?無視ですか?おいこらスクアーロ作戦隊長さんよぉ…この私が廊下に助けを求める程暑がっているというのに無視するとはいい度胸して、

「ぷぎゃぁああぁああ!」
「ほぉーここの床、うぐいす張りにしたのかぁ。」
「踏んでる!踏んでるよスクアーロォオオ!!」

こんな長身のおっさ…ん、じゃなくてお兄さんがブーツで女の子の背中踏んじゃ駄目でしょうが。しかも骨の真上を踵でグリグリしちゃってんじゃん!

「うわーん鬼ぃー鬼がいるー。」
「愛だ愛。廊下で寝ころぶなんざ、だらしねぇにも程があるだろぉ。」
「本当に愛してるならアイスクリームの一つでも持ってきてよ。」

態とらしく頬を膨らませると、不細工だぜぇその顔って笑われた。スクアーロも下から見たら不細工だ!なんて言ったけど、スクアーロはどこから見ても綺麗で、心臓がちょっと痛んだ。

「たーいちょ。いいの?ボスに報告しに行かなくて。」
「そうだった。なまえのせいで時間食っちまったな…」

ベルの呟きでスクアーロはやっと足を止めた。そしてその足に体重をかけ、私の背中を踏みつけながらひょいと飛び越える。

「いっ、たいでしょーが!!」
「そんなとこに寝てるからだろぉ。」

痛かった。でも、スクアーロがこんなに軽いわけない。あまり体重をかけないように飛んだことくらい、すぐ分かるよ。変なとこ優しいから嫌いになれない。それでも、好きだとか言うのは悔しくて嫌。

「なまえ。」
「ん?っうわ、冷たっ!」

背中にちょんっと乗せられた白いビニール袋。隊服越しでも分かる冷たいそれは、きっとスクアーロの優しさ。

「俺の愛だぜぇ。有り難く受け取れ。」

起き上がって背中の物を確認すると、カップに入ったアイスクリームが一つ。ボスの部屋に向かうスクアーロにお礼を言うと、振り返らずに頭上でヒラヒラと手を振る。

「俺の分ないじゃん。王子なめてんの?」
「え、ベルもスクアーロの愛が欲しいの?」
「…そんな言い方されるといらねー。」


冷たい愛を廊下で食す。報告を終えたスクアーロが帰ってきたら、行儀悪いぞぉって怒られちゃう。それが楽しみで楽しみで。



愛スクリーム



「他の連中のはルッスーリアに渡しといたぜぇ。」
「みんなの分あんの!?」
「なまえ、行儀悪いだろぉ。ここは廊下だぁ。」
「…はぁい。」



100522


あんみつ小町様との相互記念に作らせて頂きました。その素敵サイト様へはリンクから飛べるようになってます(´`*)


ぽぽ様へ
一ヶ月もお待たせしてしまい申し訳ありませんでした><
愛だけはぎゅっと詰め込んだのですが、これはサド鮫と言えるのか…
ヒロインをからかって楽しむ鮫さんって感じになってしまいましたorz
でも愛はあるんです!鮫はヒロインが可愛くて可愛くて仕方ない的な^ ^

こんなのでよろしければ貰ってやってください(;´∀`)
相互リンクありがとうございました!これからもよろしくお願いします♪


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