結局いろいろ買っちゃった。持ってきているのに服や靴、使うかも分からないのに鞄やアクセサリー…ルッスーリアさんと一緒だったから、命を狙われてるかもしれないこと、すっかり忘れて楽しんじゃった。そりゃ初めはビクビクして挙動不振だったけど、ルッスーリアさんが、私もなかなか強いのよって言ってくれたから。

「たっだいまぁ〜今帰ったわよぉ。」

長い廊下の先にある大きな扉。この部屋は自室とは別にある幹部のリビングみたいなところ。広すぎてリビングなんて言葉は似合わないけど、自由に使っていいらしい。

「遅かったじゃん。って、うわ、何その大荷物…」
「あらベル!仕方ないわよぉ。なまえちゃん、可愛いお洋服なーんでも似合っちゃうんですもの!ついつい買いすぎちゃったわ〜」
「そ、そんな…」

ザンザスさんがくれたカードも使わせてもらったけど、実を言うと洋服は大半ルッスーリアさんが買ってくれた。値札を見ずに気に入ったデザインの服を指さしていくだけ…憧れのセレブ買いを初体験。本当にいいんですかと問えば、まだまだ買い足りないわよと返ってきた。暗殺者って儲かるのかな?

「へぇ、王子ちょっと興味あるかも。どんなの?」
「こらベル!勝手に開けないの!」
「いいじゃん。あ、俺こんなの好き。なまえ、これ着てよ。」
「は、はい。じゃあ明日はそれにします。」

ベルさんが取り出したワンピース、それ私も店で一目惚れしたんだよなぁ。一番早く着られそうで嬉しい。テーブルいっぱいに広げられた荷物を囲み、三人で買い物に行った時の感想など他愛ない話をしていると、リビング…談話室と言った方がしっくりくるかな、まぁどちらでもいい、その扉が開いた。あ、スクアーロさんだ。

「なんだぁ、帰ってたのか、ってゔお゙い…その大荷物、まさか…」
「うしし、俺と同じ反応。」
「女の子ですものーいくら買ったって足りないわぁ。」
「張り切りすぎだぁ、ルッスーリア。」

やっぱり買いすぎだよね。女の私でもそう思うんだから、男の人から見れば相当な量に違いない。ベルさん同様、荷物に目を移したスクアーロさん。けれどベルさんみたいに袋の中身を探ろうとはしなかった。ただ、少し頬を緩め、

「楽しかったかぁ?」

とだけ私に聞いた。うわぁ、やっぱり格好良い…私顔赤くなってない?だ、大丈夫かな。そればかり心配になって声が出ず、コクコクと二回頷いた。スクアーロさんは、よかったなと言い、昨日のように私の頭を軽く叩いた。

「ところでスクアーロ、そっちはどうだったの?」
「ああ、やはり動いている。これは確実に見られたなぁ。」
「ししっ、大変じゃんなまえ、やっぱ顔見られてたってよ。」
「!…そんなぁ。」

気分は一転、急に肩が重くなってきた。じゃあ今日もルッスーリアさんが一緒だったから無事だったのかな。それよりも、スクアーロさん、私の為に調べに行ってくれた?…そんな訳ないか。ここの人達だって私みたいな邪魔者は出来るだけ早く日本に返したいだろうし、任務とやらでそんな命令が出たのかもしれない。しかしこれで私の命が狙われていることが確定した。今までよりも気持ち引き締めなきゃ、引き締めたところで結果は変わらないかもしれないけどね。

「大丈夫よなまえちゃん、心配しないで。」
「ルッスーリアさん…」
「そんな顔すんなよ。ほらなまえ、飯食いに行こうぜ。王子腹減ったし。」
「ベルさん…」

少し肩が軽くなった気分。暗殺者って初めはマイナスイメージだったけど、今となっては心強い。暗殺のプロということは強いのだろう。スクアーロさんだって強かった。相手のオジサン、怯えてたもんね。あ、そういえばスクアーロさんはこの状況をどう思っているんだろう。鈍臭くも顔を見られた私を疎ましく思っていないだろうか。

「あの、スクアーロさん…」
「あ゙あ゙?俺にも励ませってか?」
「い、いえ!そうじゃ、なくて…ごめんなさい、顔…」
「仕方ねぇだろぉ、気にすんな。俺が撒いた種みてぇなもんだぁ。」
「やだスクアーロったら!間違ってもなまえちゃんには種撒かないでちょうだいよ!このケダモノッ!!」
「ゔお゙ぉい!なんの話だルッスーリア!!」
「うしし、なまえ、スクアーロに近づいたら孕まされるぜ?」

ベルさんが笑ったのでつられて笑ってしまった。お前まで笑うなとスクアーロさんに怒られたけど、何だかいい空間だなぁここ。安心ってものを、したかもしれない。

「ったく…おいなまえ。」
「はい?」
「下手に巻き込んだ俺の責任だぁ。…守ってやるよ。」


そんな格好良い台詞
真面目な顔して言わないでください



照れるじゃないですか。



stage6 end



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