ん…知らない天井。凄く大きなベッドで、気持ちいい。ここはドコ?誰もいないの?予約してたホテルじゃ…ないよね。

「×××ーー!!」
「きゃあっ!」
「あら、ごめんなさい。貴女日本人だったわね。驚かせちゃったかしら?」
「え、え…あ、の。」
「私はルッスーリアよ。スクアーロから全部聞いたわ。怪我はない?」
「は、はい。…あの、誰ですか?スクアーロって。」

ルッスーリアと名乗ったお姉さん(って呼んだ方が良さそうな人)は「まぁ!」と言って両手で頬を押さえながら狼狽え始めた。いったい何だ。狼狽えたいのは私の方だぞ!

「やだわ〜スクアーロったら、やーっぱり女の子拉致ってきただけじゃなぁい。」
「ゔお゙ぉい!ちげぇーぞぉ!!」

扉の開く大きな音と、それ以上に大きな叫び声。私の心臓は確実に小さくなっただろう。あ、お兄さん…だ。うああああああ銀髪のお兄さんだよ!ひ、人殺し、の!!じゃあここはこの人の家?家と言うか城?何だここ!!改めて回りを見回すと、そこはまるで絵本の中。可愛いお姫様が暮らす大きなお城の、可愛い一室。そんな感じだった。

「ルッスーリア、確かに部屋を一つ用意しろとは言ったが…何だぁこの甘ったるい色合いは!」
「だってぇー女の子だって言うんだもの〜可愛いお部屋にしたいじゃない!」

ああ、この人の趣味かそうなんですね!格好超黒いのにどの部屋もこんなんだとか有り得ないよね、安心した。いや前言撤回だ、安心の“あ”の字もない。私は何に巻き込まれた?この人達は、誰?

「あの、銀髪のお兄さん…」
「あ゙?俺かぁ?」
「んま!スクアーロ、こんな若い子に“お兄さん”なんて呼ばせて…何プレイのつもり!?オジサンのくせにっ!」
「何プレイのつもりもねーよ!テメェの方が年食ってんだろぉが!!」
「あ、あの…私の話を…」

駄目だ。話にならない…もう泣きたくなってきた。災難続きだ、ここ最近。やっぱり一人旅も北へ行く程度にすればよかった…どうして北海道を選ばなかったんだ、私は。何も聞いてもらえないままいると、扉が再び開いた。銀髪のお兄さんが入ってきた時よりも音は控えめだ。

「うるせぇ、カスが。」
「幹部集合ってやつだな。王子も来てやったんだから、有り難く思えよ。」
「ボスがわざわざ出向かれたのだ、有り難く思え。」
「この一人ずつ台詞言ってくシーンってー、ぶっちゃけいらなくないですかぁー?ミーはパスしまーす。」
「一番なげぇよ、お前。」

うわ、また面倒な感じの人が増え…いたたた、お腹が…とりあえずみんな黒い。服が。何かの団体さん?だとしたらここはこの人達の基地、みたいな場所?ってそんな、それこそ映画の設定みたいな話あるわけない、あるわけないわ。

「ししっ、本当にジャッポーネの女だ。俺ら日本語分かるし、怖がんなよ。」
「ベルせんぱーい、こーんな趣味の悪い格好した真っ黒集団を怖がるなーなんてー無理があると思いまーす。」
「それもそぉーねぇ。じゃあ、みんなで自己紹介しましょうよ!」

何このノリ。私新入社員とかじゃないんだけど。結局お姉さんがみんなの名前と今の状況、お兄さん達のお仕事を簡単に説明してくれた。マフィア?暗殺部隊?本当に、安い映画の世界。私、生きて日本に帰れるの?


stage3 end



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