「何か用かぁ?」
「は、はい。まぁ…」

所変わってスクアーロさんの部屋。ルッスーリアさんと二人でキャッキャと話していれば時間はすぐに過ぎ、スクアーロさんが帰ってきたのだ。ちなみに用意してくれたデザートは葛餅だった。何故に葛餅!?と驚いたけど、それが日本人である私の為にわざわざ用意してくれた物だと分かり、優しさにジーンと心暖められた。そんな心が冷え切る、今の私はまさにそれ。だってさぁああああ!帰ってきたスクアーロさん、超真っ赤なんだよ!?返り血らしいけど、急いで片付けたらこうなったって…ああもう私の血の話なんかどうでもいいよ。

「けど疲れてそうですし、また今度…」
「こんな任務、ボスの我儘に付き合わされるよりよっぽどマシだぁ。」

スクアーロさんは黒い隊服を脱ぎ、血で素肌に張り付いたシャツを鬱陶しそうな目で見ていた。ああ、その服も処分箱行きだな…

「あ、先に血を流してきますか?私の話はその後でも大丈夫です。」
「それもそうだな。なまえも一緒に入るかぁ?」
「そうですよ。そんなに血が…って、え?」

うわ、なんてありきたりな返事。赤くなる顔も情けないことこの上ない。

「そんな顔してんじゃねぇよ。俺の女だろ?」

俺の、女…!俺の、だって!聞いた聞いた?うわー何か恥ずかしい。スクアーロさんの頭からつま先にまで目を走らせて、やはり良い男だと再確認。未だ実感は湧かないんだよね。こんな人が私を好きでいてくれてるなんて。

「スクアーロさんの…?」
「ああ。なまえは俺を好きで、俺はなまえを愛してる。同意でセックス済ましたくせに恋人にはなりませんなんて、言わせねぇぞぉ。」
「そそそれは、そう、ですけど。」

そう、そうだよ!彼氏なんだよこの人。私を遠回しに捨てたあのクソ上司の元立ち位置にいるんだよ!だから気にするな…気にするな私!

「俺の女なら一緒でも問題ねぇだろぉ?」
「あの、えっと…実は、その…生理、が、きてしまって。一緒にお風呂どころじゃないって言うか…あ、用って言うのも、薬局とかに買い出しに行きたくて、それで…」

言った…言ってやったぞ!スクアーロさんが小首を傾げてる理由はさっぱりだけど、何とか伝えた。あとは返事待ちだ。

「なんだぁ?お前そんなこと勿体ぶってたのかぁ。」
「え?」
「いいぜぇ。そのくらい。寧ろもっと早く言うべきだろぉが。」

あれ?何か凄く意外すぎる反応…もっとこう、ぎくしゃくするかと思ったのに。なんて言うのかな。大人ーって感じ!そういや、前の彼氏も年上だったけど…スクアーロさんとは全然違う。生理だなんて言おうものなら、目を泳がせながら「そうなんだ」としか言わない。男にはないからね。どう対応していいのか分からないんだろう。それなのに、スクアーロさんときたら。

「どうかしたかぁ?顔、ニヤケてるぞぉ。」
「何でもないでーす。」
「?…とりあえず、風呂入るぞぉ。」

行ってらっしゃい。そう言って送り出したのに、何故私の手も引いているんだろうか。ちゃんと話聞いてた?生理って何か知ってる?え、え、何で脱衣所まで連れてこられてんの?

「あの…」
「シャワーだけだぁ。」
「いやだから…」
「気にしねぇよ。」
「私がします。」

はいはいって呆れながら私の服を脱がせていくスクアーロさん。だから気にするって言ってるでしょう!衣類が剥がされる度に私の顔はどんどん熱を持つ。

「あとは自分で脱げよぉ。先に行ってるからなぁ。」

下着姿にまでされた私はその場にペタリと座り込んだ。スクアーロさんは恥ずかしがる素振りも見せず、自分の衣類に手をかける。あの白かったはずのシャツはやはり処分箱行き。あとは洗濯箱に突っ込んで、すぐに浴室へと消えた。

「脱ぐしかないのかなぁ…」

何事もなかったかのように服を着て逃走することも考えたが、それはちょっと躊躇ってしまった。それに気になることが一つ。

「スクアーロさん、左手だけ手袋したまま入っちゃった。」

羞恥心を脳内から押し出し、私は下着を外した。早くバスルームに入らなきゃ、血が落ちるかも。ゆっくり扉を開いて、左の手袋したままですよって教えてあげよう。



stage27 end



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -