戻ってきちゃった。スクアーロさんの部屋に。今晩仕事があるらしく、スクアーロさんは午後から出掛けてしまった。部屋を移るって言っても、私が自室であるかのようにこの部屋でゴロゴロするだけ。

「…いいのかな。」

高そうな家具に囲まれた私は確実に浮いてる。冷蔵庫に入っていたオレンジジュースを啜りながらテレビを点けた。アルコールで大失敗した私用に用意されたオレンジジュース。優しさなのか子供扱いなのか分かったもんじゃないね。

「……っ!あ。」

何を言っているのか分からない番組に集中出来るわけがない。だからこそ、すぐに気づいたんだけど。あの嫌な感覚がして、私はトイレに向かった。

「やっ、ぱり。うわー…参ったな。」

きてしまった女の子の日。こんなに長くイタリアに滞在する予定なかったから、用意なんてしてないよ…そりゃ予備でちょっとは持ってるけど、全然足りない。その場は適当に処置して自室へと急ぐ。



「はぁ、ちょっとでも持ってきといてよかった。」

自室にてきちんと処置した後、冷静に考えてみた。こんな男ばっかりのところでどうしろって言うんだ。いや、ルッスーリアさんになら相談出来るけど…

「なまえちゃーん、こっちの部屋にいるのぉ?」

コンコンと扉を叩いたのはタイミングの良いことにルッスーリアさんだ。急いで扉を空け、どうしましょうと本題をぶつけた。

「あらあら。困ったわね〜…私、一見こんなだけど体は男の子だから持ってないわ。」

そこに期待してた訳じゃないですよルッスーリアさん!持ってたら有り難かったけど、そこまで求めてはないって言うか何て言うか…

「でも簡単な問題じゃない。」
「そ、そうですか…?」
「スクアーロに頼めばいいのよ。明日買い物に連れて行ってって。」

…何だって?スクアーロさんに?ってことは、ルッスーリアさんは遠回しに生理がきたことを彼に告げろと言いたいんだよね。昨日彼氏になった人に言えって?急すぎだろ!

「いや…でも流石にそれは…」
「夜中には帰ってくるわ。その為に早く出掛けたみたいだし。帰ってくるまで待つか、朝叩き起こして言ってみたら?」
「疲れてるんじゃ…」
「大丈夫よ〜なまえちゃんの頼みなら聞くわ。」

今から車を出してもらっても、もう店は閉まっている。そしてルッスーリアさんは明日早朝から任務なんだとか。本当は私が行ければいいんだけど…と申し訳なさそうな顔をされ、焦ってしまった。寧ろ私が、面倒ばかりかけてすみませんと謝る立場だ。

「私が悪いんですから、そんな顔しないでくださいっ!…スクアーロさんに、頼んでみます。」

私がそう言えば、ホッとしたような笑顔を見せ、あの子には早く帰るよう連絡しておくわねとケータイを取り出す。カチカチとメールを打つ姿、それを眺めながらふと思った。

「あ、ルッスーリアさん、私に用があったんじゃないですか?」

そうだ。私を探してこの部屋を訪ねてきたんだから、何か用があったんだろう。ルッスーリアさんはケータイを仕舞いながらそうだったわと手を叩いた。

「食後のデザートに甘い物でもどうかと思って誘いにきたのよ。」
「やった!食べます食べます!」

憂鬱なことは後回し。スクアーロさんが帰ってくるまでまだ時間もあることだし、まったり待つとしよう。



stage26 end



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