それは懐かしい記憶。中学生だった私は夏の暑さが残る太陽の下を歩いていた。もちろん下校する為に。ちょうど木々の立ち並ぶ通りを歩いていた時だった。空に広げられた葉によって太陽が斑模様を描いた先、一際目立つ光が見えた。実際にはそんなに光っていなかったんだろうけど、私の乙女ビジョンではそう見えたんだ。

「(綺麗な銀色…外人さんだ。)」
「ゔお゙ぉい!」
「ひゃっ!」
「並盛中の場所を知っているか?」
「え、…は、い。この道を、真っ直ぐ…二つ目の信号を右です。」
「Grazie.」

一瞬、日本人なのかと思った。口から出た言葉があまりにも発音の良い日本語だったから。けど最後は分からなかった。やっぱり、当たり前だけど外人さんだよね。ぐ、ぐら…ぐらじ?気になるから、後で調べよう。何処の国なんだろう。去っていく後ろ姿も、綺麗。

覚えているのは、整った顔と鋭い目つき、夏だというのに真っ黒な服で全身を覆っていたことと、綺麗な、長い長い銀の髪。ずっと頭から離れなかった。


―流石イタリア出身のシェフ!本場イタリアの味ですね〜凄く美味しいです。―
―Grazie!―
「…イタリア、人?」



気になっていた言葉は料理番組で解決。“ありがとう”だって。優しい人なんだろうな、あの銀髪のお兄さん。



stage1 end
連載開始(090801〜)

夏始まったばっかだけどね!
鮫さん(22)が活躍した頃、アニメ内は夏〜秋設定っぽかったので。



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