「おかしくないか?」

すっごく感動的(?)まぁシリアスっていう雰囲気をぶち壊したのはレヴィさん。ルッスーリアさんは、空気読みなさいよ!なんて怒ってる。私は有り難かったけどね。辛気くさいのとかジーンとくる話とか苦手だし。

「何故十年間なのだ?なまえがスクアーロと出会ったのは一週間程前だろう。」
「十年分くらいの気持ちが詰まってるんじゃねーの?ししっ、王子良いこと言ったー。」

あ、そうか。この十年の意味が分かるのは私だけか…ちょっと感情的になりすぎて忘れてた。ベルさんはテキトーに理由を作ったけど他のみんなは、そう言えば…と、不思議そうな顔だ。

「えっと、…実は私、十年前に会ってるんですよ。スクアーロさんと。」

やっと足に力が入ったのを確認し、よいしょと腰を上げた。埃なんかついてないけど、パタパタと衣類を叩く。その様子を一番驚いた顔をして見ていたのはスクアーロさんだ。

「ゔお゙ぉい!俺は知らねぇぞぉ!!」
「あはは。道端で会っただけなんで、当たり前ですよ。」
「冗談だろぉ?」
「十年前ならちょーどリング取り合ってた頃だし、可能性はあるんじゃねーの?」

リング?何それ…って顔をしたら、後で説明してやるよってベルさんに言われた。スクアーロさんは未だ私の話に納得していないようで、うーんと頭を抱えている。

「スクアーロさん、並盛中には迷わず行けましたか?」
「あ゙?……そういえば。」
「何迷ったわけ?だっせーの。」
「うるせぇ!リング戦の前にテメェらの為に場所の確認に行ったんだぞぉ!」

些細なことでプチ喧嘩が発生。海外で迷ったって恥ずかしくないのに。しかし、私なんかどうなるんだよ!と今会話に参加するのも無駄だ。

「それで、並盛中の場所はどうやって知ったんですか?」
「確か…ちょうど進行方向にガキがいて…そうだ、そいつに!って、は?どうしてなまえが並盛のこと…え、あ、まさか…」
「はい。場所を聞かれたガキです。」

スクアーロさんはその驚きが言葉にならないみたい。反対に、周りはこれでもかという程声を上げる。一番興奮していたのはルッスーリアさんだ。

「運命ってあるのねぇー!!」
「さっきのお礼の言葉、その時にも言ってくれたんです。それでイタリアの人なんだなって…」
「んまー!追いかけてきたの?ロマンチックー!!」
「会えるとは思わなかったんですけど。」

こんな偶然、私の方が驚いてる。だってさ、思わないでしょ?口答だけで道案内した外人さんを好きになって、十年後に再会出来て、その上想いが通じるなんて。これ以上の偶然、あるわけない!そう思った。

「並盛…ならさ、サワダツナヨシって奴、知ってる?」
「おいおい、流石にそれは…」

でも偶然はまだ続く模様。それは確実に聞き覚えのある…十年前、出席をとる度に聞いていた名だ。

「沢田綱吉君?知ってますよ〜同じクラスでした。あ、もしかして沢田君の知り合いだったんですか?」

確か沢田君にも聞いたよ。クラス全員に聞いたんだし。銀色の長髪で凄く背が高い外人さん、知り合いにいる?って。あの時沢田君、知らないって言ったのに!

「消えろ。俺の前で沢田綱吉の名を口にするな。」
「うししっ。ボスまだ根に持ってたんだ。なまえ、場所変えよーぜ。」

ザンザスさんの機嫌を損ねる話題のようだ。話の続きは談話室で。そう決まると、ベルさん手を引かれ、私はその部屋を後にした。他のメンバーも続くように部屋を去っていく。フランさんとレヴィさんはこれから任務らしい。昨日の話ってこのことだったのか。さて、私は懐かしい中学時代を頑張って思い出すとしよう。





「おいスクアーロ。」
「……」
「さっきの話だが、なまえ本人の意志も考慮して今は保留だ。」
「…ザンザス、なまえがいたって、お前に対する忠誠心は揺るがねぇ。絶対にだぁ。」
「そんなことは聞いてねぇだろ。さっさと消えろ。」
「ああ。」



stage24 end



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