暗殺部隊っていうのも、意外と家庭的なんだなぁ。脱衣所の隅に置かれた筒状のボックスを見てそう思った。それは二つあり、“洗濯”と“処分”の文字が。何故日本語で書かれているのかは分からないけど、左の箱が洗濯物で、右の箱が処分する衣類のようだ。衣類の処分ってそうないでしょ!?とツッコミ入れた私が悪かった。良心を痛ませながら“処分”の箱を覗くと、中には所々どす黒い赤色をした、元々白かったであろうシャツが。ああ、こっちなんか刃物でスッパリ切れた跡。切り口に血が滲んでないってことは掠っただけかな?

「やっぱり、危ない仕事なんだ。」

当然だ。凄く今更。なのに私は、それを口に出さずにはいられなかった。痛々しいシャツを戻し、シャワーを浴びるために浴室へと進む。洗濯物を見ちゃうのは流石に変態だろ、うん。…ちょっと見たかったけど、どうせ私が強く握って出来たシワの目立つシャツが入ってる。見たって恥ずかしくなるだけだ。他のものも入ってるだろうし。そんな煩悩を一緒に洗い流すみたいに、ぬるい水は私に降り注いだ。

「早く出て、ザンザスさんに謝りに行かなきゃ。」

暗殺部隊なんて、名前からして恋愛とか禁止っぽいし。スクアーロさん一人だけが怒られるなんて、かなり申し訳ないよ。本当はもっとゆっくり探索したい。特にシャンプーやリンス、コンディショナーなんかは銘柄まで突き止めたいのに!ご丁寧に無地のボトルに詰め替えられたそれらは名前なんて分からない。どこの国の物なのかも。つーかスクアーロさん詰め替えてるんだ…忠実(まめ)だなぁ。衣類の仕分けといい、この詰め替えといい、暗殺部隊が家庭的なんじゃなくて、スクアーロさんが家庭的なんだろうか。

「何だか、日本人みたい。」

イタリアの人もこんなことするのかなって思うと、凄く親近感が湧いた。あ、早く行かなくちゃ…一度自分の部屋に戻って、着替えだけ済ませたらすぐに行こう。



stage22 end



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