涙が出そう。私っていつからこんなに涙腺緩くなったんだろう…泣いてばっかりだな、スクアーロさんの前では。

「あ゙、いや…でも、ちょっと待て。それだと…」

私の好きです発言から数分、スクアーロさんはブツブツと一人で自問自答を繰り返している。好きでいてくれてるのかな〜っていう自惚れだけで告白してしまった。普通に考えて間抜け極まりない。どんな自信家だよ…

「あの、スクアーロさん。私、気持ちを伝えられただけで充分です。あ!お返事とか、そういうのは結構です…その、付き合いたいとか、そんな厚かましいこと思ってないんで…しっ、失礼しましたー!」

穴があったら入りたい。穴がないなら部屋に篭もりたい。これ以上この部屋にいられないと悟った私は、踵を返して扉へと向かった。しかしドアノブに手を掛けて扉を開けた瞬間、ガコンという音と共に開き掛けた扉はまた閉まる。

「何処に行く気だぁ?」

頭上から降ってきたスクアーロさんの声。私の頭よりも高い位置にスクアーロさんの右手が見えた。その手で扉を殴って閉めたようだ。

「スクアーロさん…ち、近いです。」
「態とに決まってんだろぉが。」

背中にスクアーロさんを感じる。ほら、こんなに近かった。背を向けたままの私の首に、細い割に筋肉の付いた腕が回る。頬や首筋に掛かる銀の髪が、やけにくすぐったい。

「何が厚かましいんだぁ。…嬉しかった。」
「…スクアーロさん?」
「ゔお゙ぃ、もう一回やらせろぉ。」
「え、何を っんー」

顔だけスクアーロさんに向けると、待ってましたと言わんばかりに唇を押し付けられた。その唇はちゅっと音を立てて直ぐに離れ、スクアーロさんと目が合った。細められた目のその奥で、自分とは違う色の瞳が欲を含んで揺れている。

「もう一回、だぁ。」

今度のキスはさっきより深くて、何度も角度を変えながら、私が口を開くのを待ってる。苦しくて開いた僅かな隙間、そこから舌が口内に押し入ってきた。それを私の舌と絡め、淫らな水音を響かせる。もう無理。ガクリと膝が力を無くす。しかし私は床に座り込むことなく、軽々とスクアーロさんに抱き上げられた。

「あ…」
「逃げるなら今だぜぇ?」
「!あ、あれは…“取り敢えず”逃げただけで…その…」
「そうだったなぁ。なら、一緒に来い。」

私を抱き上げたまま、スクアーロさんは廊下に続く扉から離れていく。行き先は、私が数時間前に逃げ出したあの寝室。



stage19 end



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