はぁ、はぁ。本日二回目の全力疾走。年かな。心臓止まりそう。やっと辿り着いたスクアーロさんの部屋。確かここだったよね…ここに来るまでには会わなかったし、あんな言い合いの後で談話室に行くのも考えづらい。となれば一番当たりの可能性が高いのはここ。コンコンとノックをしても返事はない。部屋間違えたかな?もう一度ノックをして、スクアーロさん、と呼びかける。すると扉が勢いよく開いた。中から引くタイプの扉でよかった…押すタイプだったら私の顔面は悲惨なことになっていただろう。扉を開けたスクアーロさんは、少し戸惑ったような顔をしていた。

「入っても、いいですか?」
「…ああ。」

通された部屋、逃げる時に通ったリビングだ。ベルさんの部屋よりはるかに物が少ない気がする…片づいてるからそう思うだけかな?スクアーロさんはまぁ座れと言って大きなテレビの前にあるソファを指した。私は素直に頷き、その座り心地の良いソファに腰を降ろす。

「さっきは、ごめんなさい。」
「なまえが謝ることじゃねぇ。俺が悪かった。お前のこと…」
「!私、傷つけられたなんて思ってません!…ただ、何だか恥ずかしくて…」

“傷つけられた”その言葉を聞いて、やはりベルの部屋にいたのかと力なく笑ったスクアーロさん。そうだった、そこから勘違いさせているんだ。ベルさんの部屋にいたのは事実だけど、スクアーロさんの思っているような行為はなかった。それはちゃんと伝えたい。俺には関係ないって言われるかもしれない。でも知っていて欲しいんだ。

「あのっ実は「分かっているつもりだぁ。ベルとの付き合いももう長い。大方、フランと手を組んで俺をからかったんだろぉ。」
「どうしてフランさんのこと…」
「あいつらが連むとろくな事がねぇ。ここ最近、二人でよく話をしていたからな…どうせ近々何かしでかすと踏んでいた。」

流石隊長とでも言うのだろうか。観察力も相当…でも、分かってたならベルさんとも言い合いにならなかったはず。敢えて言い合った理由は何?ちゃんと説明してくれないと、いくら鈍感な私だって…

「期待、しちゃうじゃないですか…」
「何をだぁ?」

私の為だったのかなって。二人の悪戯に、私が巻き込まれたんじゃないかと心配してくれたの?大事に思ってくれてるから、ベルさんの嘘かもしれない話に真剣だったの?


好きだから
キスしてくれたの?



「私、好きです。スクアーロさんのこと…ずっと、ずっと前から。」
「は…?」


頬を赤くしたスクアーロさんの、その驚いた顔といったら。



stage18 end



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