「ゔぉい!聞いてんのかベル!!」

廊下まで私の声が響いていたなんて。控えめだったノックの音はガンガンと力強く殴る大きな音に変わっていく。ベルさんを見ると、何か考えているようだった。フランさんは口に人差し指を当て、ミーはいないことにしてくださーいと小声で言った。それをヒントに、ベルさんは何か閃いた模様。

「聞こえてるって!でも出れねーの。なまえとお楽しみ中だから。」

はぁ!?何言ってるんですか!そう反論したかったのに、フランさんの手によってそれは阻止されてしまった。これ以上話をややこしくしたくないのに!

「どういう意味だ?」
「言わせる気?そういうの、野暮って言うんだぜ。なまえ、ベッドルームに行く?ここじゃカスの声が煩いだろ。」
「ベル!!」
「うししっ、戸は壊すなよ。」

さっきよりも空気がヤバイ。扉越しに嫌な気を感じる。これが殺気ってやつ?私みたいな一般人にも分かるもんなんだ…なんて関心してる場合じゃない!早くベルさんを止めさせなきゃ。けど、スクアーロさんはどうしてこんなに必死になってくれるんだろう?私のことなんて何とも…

「止めろって叫んでたじゃねーか!何やってんだぁ!!」
「スクアーロには関係ねーし。なまえのこと傷つけたくせに、お前何様だよ。」

ねぇ、どうして?どうしてそこで黙っちゃうの?私のこと、傷つけたつもりだったの?私が逃げたから、そう思ったの?あの時は笑ってたのに。走り去る私を、笑って見てたのに。

「なまえが、言ったのか…?」
「スクアーロが何したかなんて知らねーけど、なまえの奴、泣きついてきたぜ。」
「…そうか。」

嘘、ベルさん何言ってるの?スクアーロさんが誤解してる…もう、声だって聞こえない。何処かへ行っちゃったんだ…フランさんの手が口から退けられ、私はペタリと床に座り込んだ。

「悪いなまえ、ここまで嘘吐くつもりじゃなかったのに…スクアーロがお前の彼氏面してるのに腹立って、さ。」
「ベ、ベルさんのせいじゃないです!それにスクアーロさんは私のことなんて…」
「なまえさーん、それは違うと思いまーす。」

私の真ん前でしゃがみ込んだフランさんはニコリと可愛く笑ってみせた。そして私の頭を優しく撫でる。それは、スクアーロさんとは感触の違う手。

「大事だと思ってるからーベル先輩の言葉にグサッときたんじゃないですかー?それとー、ミーは追いかけるなら今だと思うんですけどー。」

そうだ。追いかけなきゃいけない。このままは流石にマズすぎる。ごめんなさいと言って私は部屋を飛び出した。どちらに行ったのかも分からない。先ずはスクアーロさんの部屋に向かってみよう。




「ベルせんぱーい。ミー余計なこと言っちゃいましたかー?」
「別に。俺さ、なまえのことわりかし気に入ってんだけど、恋沙汰とはまた違う気がすんだよ。」
「そんなの、ミーだって一緒ですよ。」




stage17 end



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