その晩、私は何故かベルさんの部屋に呼び出された。と言っても、夕飯が終わったと同時にベルさんとフランさんに腕を抱えられ、ズルズルと連行されたわけだけど。

「さっ、てと、白状しろよ。鮫とどこまでいったわけ?」
「ハグまではミーが確認しましたー。というかーイくとこまでイっちゃったんじゃないですかー?」
「何ですか!イくとこまでって…そんな、別に私とスクアーロさんは…」
「ししっ、鮫がスクアーロだってことは理解出来たんだ。」

してやったり。まさにそんな顔をしてベルさんが笑った。夕飯の時、スクアーロさんに会わないかとずっとヒヤヒヤしていたから、まだその感覚が消えない。頬を染めながら、ベルさんとフランさんから目を離した。ついでにベルさんの部屋をぐるりと見渡す。作りはスクアーロさんの部屋と一緒。寝室に続く扉も、見覚えがある。けど雰囲気はまるで違った。置いている物や片づけ具合でこうも変わるんだなぁ。

「でー結局ロン毛隊長とはどーなんですかー?ミー達に言葉の嘘は通じないですよー。」
「…い、一方的に!…私が好きなだけです。」
「でもーミーが見た時は隊長がなまえさんを抱きしめてたんですけどー。」
「へーえ、意外と手早いんだ。俺らの作戦隊長さん。」

二人のせいで私の頬は熱くなる一方。この口の達者な二人が相手だと、何も言えないよ。フランさんの言う通り、嘘ついたってすぐ見破られるのがオチだ。けど、さすがに自分から泣きついたんだとか、それが原因で押し倒されたんだとか、キス、しちゃったんだとかは、言えない。

「じゃあノリでセックスした?したんだろ?二人共もういい大人なんだから。」
「そ、そこまでは!」
「でも途中まではしたんですねー。なまえさんすごーく顔に出てますよー。」
「えっ!」
「あーらら、真っ赤じゃん。ダイジョーブ?」

もうやだぁ、この二人。息ぴったし…肩なんて叩いて慰めないでよ。しかもそんな楽しそうに慰める人がいますか普通!ううっ絶対面白がってる。

「協力しますよー。」
「えーマジで?俺は嫌だね。なまえいー女だしさ、あいつには勿体ねぇって。」
「邪魔してどーするんですかー?なまえさんは隊長が好きなんですからー、仲違いさせた所で堕王子に惚れるなんて確率的に低いと思うんですけどー。」
「おい、もっぺん言ってみ?」

ベルさんの手の中でキラリと独特な形をしたナイフが光った。ちょっとヤバイんじゃない?…止めなきゃ、こっちまで巻き込まれそうだ。

「二人とも…止めてくださーい!!!」

よく頑張った私。こんなに腹の底から声を出したのは久しぶりだ。その甲斐あって二人はピタリと動きを止めてくれた。のはよかったんだけど…この大声がまた一つの問題を呼ぶことになった。私が叫んで間もなく、ベルさんの部屋の扉がコンコンと叩かれたのだ。これにはベルさんも頭にクエスチョンマークを浮かべている。

「ゔお゙ぉーい、ベル!何故キサマの部屋からなまえの声がするんだぁ!」

私は全身の血の気が一気に引いた気がした。



stage16 end



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