気まずい。この空気は一体どうしたものか。全て…いや七割くらいはベルさんのせいだ。私は顔を真っ赤にして硬直状態、スクアーロさんは困ったような顔で伏し目がち。ああもう!心臓がいろんな意味で痛いよ!!

「…なまえ、気を悪くするな。ベルだって冗談で言ったんだぞぉ。」
「悪くなんかしてません!私は…」

私は、…その続きは、きっと言っちゃ駄目なんだ。スクアーロさんがもっと困った顔しちゃうよ。言えない、好きだなんて、言っちゃいけない。所詮私は一般人だもの。十年前のあの頃から、“マフィア”と“一般人”だったんだ。(しかもマフィアの独立暗殺部隊だなんて)おかしな話。私はスクアーロさんの何に惹かれているんだろう。分からないけど、言えることはただ一つ。私の初恋は、してはいけない恋だ。

「あ、あれ?ど…して…?っう、ごめ、なさい、ごめんなさい。」

ほら、スクアーロさん困ってるよ。何泣いてんだよ私。笑って言ってあげなきゃ、ベルさんは相変わらずですねって、冗談がお好きな方ですねって、言ってあげなきゃいけない。でも、どこかで祈っていたりもするんだ。本当に私の王子様がスクアーロさんであることを。今までしてきた恋は全てスクアーロさんに会えないと決めつけた上での恋だった。つまりね、私は十年間ずっと忘れられなかったんだよ。もし会えるなら、会えたなら、

「す、くあ…ろ、さん?」
「泣くな。」

会えたなら、私は必ず


必ず、貴方を選びます


潰れるんじゃないかってくらい強く抱きしめてくれた。その腕は、きっとたくさんの罪を背負っているのですね。



stage12 end



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