いたたたたたたたたっ。頭が痛い、超痛い。あっさり命奪われそうなくらい痛い。どうしてこんなに痛いんだろう。重い体を起こせば昨日と何ら変わらない部屋が見渡せた。あれ?あのテーブルの瓶は…ああ!ワインか!そうだそうだ思い出した。昨日スクアーロさんがあのワインを片手に訪ねてきたんだった。美味しかったなぁ〜あのワイン。











……うわあああああああ今本当に全部思い出したぁあああああ!!!いやぁああああ死なせてぇえええ!!!!!無理!スクアーロさんに会えない!!絶対引いてる…いやそれだけならまだマシ。お怒りに触れて、こ、殺されるかも…確かワインだけじゃ足りなくてもっと色々開けたはず。それなのに綺麗さっぱり空き瓶がなくなっているということは、スクアーロさんが全部片づけてくれたに違いない。お礼言わなきゃ、でも会えないよ。あんな失態を晒しておいて平然と話なんて出来ない。

「ど、しよ…」
「起きたかぁ?」
「!?っぅあああ!!!!」
「ゔお゙ぉっ!!!な、何だ!?」

なんで部屋にいんのさ!びびびっくりした…でも、よかった。すぐ殺されることはなさそう。いつも通りのスクアーロさんだ。

「おはよ、ございます…」
「お、おお。朝食が出来たんだとよ、好きな時に取りに行け。用はそれだけだぁ。」
「どっ、どうも。」

あ、あれ?いつも通りすぎじゃない?もっとこう…ドキドキしたりソワソワしたり、そんな感じの展開があってもいいのではないだろうか。部屋を出ようとするスクアーロさんをチラリと盗み見ても、何も変わった様子がない。なかったことにしてくれてるのかな?それとも、スクアーロさんも酔ってて忘れてるとか…は、ないか。記憶にある限り超素面だった。お酒とか強そうだもんなぁ。

「なまえ。」
「はい?」
「良かっただろぉ?俺の忠告を聞いておいて。」
「忠告?」

“落ち着いた時に顔から火が出るぞぉ。”あれ、か。ってやっぱ覚えてるしなかったことにもなってなぃいいいい!!ううっ本気で顔から火が出そう…赤くなりすぎて頬が痛い。頭はもっと痛いけど。

「ほらよ。」

パコンと私の頭に当たったのは箱?ちょうど角がぶつかって地味に痛い…あ、これ頭痛薬だ。しかも日本の。私は角が当たった箇所をさすりながらお礼を言った。勿論だけど、スクアーロさんは角を私の頭にクリティカルヒットさせたことについては悪く思っていない。

「日本の物だ。こっちの薬は、お前みたいな小柄な女にはキツすぎるからなぁ。」

去り際に、茹で蛸みてぇ。と馬鹿にされた。この火照った頬の痛みは、薬なんかじゃ消えないだろう。あれ、何でこんなに照れてるの?昨日のことが恥ずかしかったのもあるけど、何か、何かが違う気もする。これってもしかして!


もしかしなくても
それは初恋のぶり返し



初恋なんて、厄介な病です。


stage9 end



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